「違法にすべき」は非常に少ないが「分からない」がやたらと多い
Ipsos社がほぼ毎年行っている「中絶は合法にすべきと思うかどうか」の調査で、日本が比較対象国に選ばれている最新の2022年のグラフは次の通り。
日本は「すべてのケースで合法にすべき」17%、「ほとんどのケースで合法にすべき」32%で合わせて49%が合法にすべきと答えている一方、「ほとんどのケースで違法にすべき」7%、「すべてのケースで違法にすべき」2%で、違法にすべきと考えているのはわずか9%。ところが、「分からない」と答えた人が43%で、比較対象国28ヵ国中で最も多い。
2020年の同じ統計について、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の産婦人科・リプロダクティブ・サイエンス科部門のダニエル・グロスマン教授は、「中絶への許容度が最も低い上位10ヶ国に入ったうち先進国であるのは合州国(64%)と日本(66%)だけだ」とコメントしていた*1。2022年も同じことが起きているばかりか、許容度は両国とも2年前の方が高かった。アメリカがこの年、ドブス判決を出したことを考えると、少々心配な気持ちになる。
2014年から2021年までの「許容度」はほとんど横ばいだった。
日本の場合は、「中絶薬」の導入によって従来の「中絶観」が揺らぎ、「どう考えればいいのか」分からなくなった人々が急増したのかもしれない。
今後も注目していきたい。