2006年06月10日のasahi.comの記事によれば,過去20年間に帝王切開による出産が倍増したという。同記事ではその背景として,高齢出産の増加,医師不足や医療かごの回避,妊婦の意識変化などを挙げている。以下,記事のポイントをまとめる。
●厚生労働省統計(医療施設調査)によれば,帝王切開率は1984年に7.3%,1990年10.0%,2002年15%超。産科医院と病院の別では,医院11.8%,病院17.9%。
●国立病院機構名古屋医療センター(名古屋市中区)婦人科医長の井上孝実医師による名古屋大付属病院&関連病院計約40施設の調査によれば,年間15,000〜19,000件における帝王切開率は,1991年12%,2001年20%,2004年24%。
その背景のひとつは,医療過誤訴訟にあるという。
これに対して医師たちは……
●国立病院機構名古屋医療センターの井上医師:「医師にとって,帝王切開は精神的にも,肉体的にも楽。少しでも分娩リスクがあって,妊婦が望めば,医師から『経膣(けいちつ)分娩でがんばってみましょう』とは言わなくなっています」。
●母子愛育会総合母子保健センター愛育病院(東京都港区)の中林正雄院長:〈不必要な帝王切開が増えている〉〈 勤務医らの激務が,安易な手術選択につながっている,とみる。〉〈だが、安全になったとはいえ帝王切開は外科手術で、危険性もある。〉「そのリスクも知って欲しい」。
一方,帝王切開を経験した当事者側は……。
千葉県習志野市の主婦,細田恭子さん(41)はインターネット上に帝王切開を経験した母親たちが話し合う掲示板を開設。自身も3人の娘を帝王切開で産んだ。術後3日は傷が痛んで歩けなかった。傷跡がケロイド状に残る恐れもある。精神的な負担もある。「楽をして産んだという偏見はまだ根強く,母乳をすぐに与えられなかったという罪悪感を抱く人もいる。最も幸せなはずの出産後に悩む母親が多いことを,医師は知って欲しい」
つまり,当事者のリプロダクティヴ・ヘルスを守る視点に立った産科医療が望まれる! ということだね。