リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

讀賣新聞online版(九州発)の週刊ニュース(2006年7月4日付)です。
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/ne_06070403.htmに全文があります。*1

麻酔薬でぜんそく発作、中絶手術の女性急死…院長書類送検


 福岡市西区の産婦人科医院で昨年8月、人工中絶手術を受けた福岡県内の20歳代の女性が、麻酔薬の投与後にぜんそく発作を起こし、急死していたことがわかった。県警はぜんそくの持病の事前確認が不十分だったとみて、80歳代の男性院長を業務上過失致死容疑で書類送検する方針。

 ―中略―

 厚生労働省によると、中絶手術が原因で女性が死亡するのは極めて異例。

日本では戦後の優生保護法による事実上の中絶合法化以降,長らく全身麻酔をかけて掻爬という手法が一般的だった。上記の医師も年齢からしておそらくその手法を用いていたと推測される。海外では1960年代から70年代にかけて,より安全な吸引法に移行している。今回の事故は痛ましいことだが,これを教訓により安全な中絶処置への移行が望まれる。1994年にカイロで開かれた国際人口・開発会議以来,「安全でない中絶」は「重要な公衆衛生上の課題」だというのが国際社会の共通認識である。WHOでは以前から全身麻酔やD&Cによる事故の危険性に警告を発していた。


参考→WHOの『安全な中絶』(2003) Safe abortion: Technical and Policy Guidance for Health Systems
http://www.who.int/reproductive-health/publications/safe_abortion/Safe_Abortion.pdf

*1:2006年9月4日現在,讀賣新聞online版の同記事は消されていました。