リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

すでに午前4時だから,6日の日記のほうがいいかもしれないけれどお許しあれ。子どもに振り回された連休をすごしていて,6日締切の論文があったことを急に思い出してベッドから飛び起き,ついさっき印刷をして投函してきた……やれやれ。「提出先」にFAX番号もあったから,先に送ったFAX原稿でたぶん受理してくれるよね……と思いつつも,少しでも早いほうがいいだろうという気持ちが働いて,マンションの目の前にあるコンビニのポストには入れず,徒歩5分の郵便局の本局まで行って来たのだ。

こんな朝早くに外に出るのは久々で,新聞配達のお兄さん(おじさん?)だったのか,誰かが背後から足早に走ってきたのにはっとして,思わず後ろを振り返ってしまった。「あたしみたいなオバハンを襲う男なんていないさ」という自嘲と,「まさかと思いながらも,やっぱり怖い」という本音が交錯する。ティーンズの頃から身に付いてしまっているこういう防衛意識って,男性には分かるのかなぁ……。WENDOでもやっていると,少しは意識が変わるのかもしれないけれど。いざとなった時に体力的に負けるという恐ろしさが,じんわりと身に染みこんでいる。

ところで昨日(5日),偶然,家の近くで高校ラグビーの試合をやっていた。最近の高校生はガタイもいいし,巧いんだなぁ……と思って見ていたら,どうやら全国大会出場をかけた県の優勝校を決める試合だったらしい。どうりでレベルが高かった。わたしは10年ほど秩父宮と国立競技場に通っていたことがあり,ラグビーは唯一観戦できる(そして観るのが好きな)スポーツなのだ。

「うわぁ,ラグビーやってるじゃん」と思うとわくわくして,子どもとのバトミントンやかくれんぼの隙に,フェンスに近づいてはちらちら覗いていて,運良く前半にセンターとウィングの見事な2トライを目撃することができた。「ゆっくり観たいなぁ〜」と思っていたら,前半が終わる頃に,何を思ったのか娘が「観る」と言い出したので,連れだってフェンスの中に。どういうわけかすぽっと空いていたセンターライン近くの最前列に陣取る。ラッキー。生でラグビー観戦したなんて,いったい何年ぶりだろう?

結果は,前半折り返しで先行していたチームの逆転負け。表彰式のあいだじゅう,目の前に一列に並んだ選手たちからすすり泣きや嗚咽がもれる。「泣くな〜」というだみ声が背後から飛んできたけど,わたしは「いいよ,いっぱい泣きなさいよ。悔しいもんね」とつぶやいた。勝った側のチームは,これから駒を進める全国大会への思いが先に立つのか,勝利に歓喜するという雰囲気ではなかった。全国の壁は厚い。石川県代表の力がどれほどのものかは知らないけれど,ともかくも,いい試合をしておいで。

どうしてラグビーだと目が行ってしまうのか,自分でも不思議だ。一般的に言って,わたしは図体のでかい男性も,筋肉隆々としているシュワちゃんタイプも苦手だ。「観戦」するのと,身近に接するのとでは話が別なのかもしれないけれど。それにしたってラグビーは,どう見ても「荒らぶる」スポーツで,脳しんとうで倒れてるくらいじゃ,「あ,ひとり死んでる」と水をぶっかける。その乱暴さは,どう考えても,ふだんのわたしの感覚とはかけ離れている。でも,ぎりぎりのところで,わたしのなかで「暴力」とは一線を画しているなにものかがある。「ノーサイド」の精神や「ワン・フォー・オール,オール・フォー・ワン」の精神のためか? なんかストイックで真摯なイメージがあるんだよね。

実際には,どこやらの大学ラグビーチームが引き起こした不祥事みたいに,肉体的な力の強さや“男らしさ”の強調が,現実の暴力につながることもある。だけどどうも,シャイでマジメなラガーメンというイメージが強いのは,単にわたしが好きだった往年の選手たちが,みな,そういうタイプだったからなのかもしれないけれど。