フレッシュアイ 2007年04月06日付の新着メールで知った情報です。日付が前後しますが,こちらに書き込みます。

 東京都の助産師A子さん(27)は一昨年、恋人との性行為の後、コンドームが破れているのを見て驚いた。翌日、産婦人科で、緊急避妊(性交後避妊)用のピル(錠剤)を処方してもらった。「緊急避妊の知識はあったけれど、まさか自分の役に立つとは思っていなかった。女性はみな知っておくべきだと痛感しました」と振り返る。(中島久美子)

――図は略――

 コンドームは、避妊のほか性感染症の予防にも欠かせないが、破れたり、外れたりして避妊に失敗することがある。このほか、避妊しなかった、レイプ被害にあった、などの場合に行う最後の手段が緊急避妊だ。

 卵巣からの排卵、受精卵の着床といった妊娠の過程は、脳の視床下部や下垂体から分泌されるホルモンや、卵巣から分泌される女性ホルモンが相互に作用して成り立っている。緊急避妊は、性行為から一定期間内に、女性ホルモン剤(ピル)を服用し、この相互作用を崩して妊娠を阻む方法だ。

 なぜ避妊できるのか。詳しい仕組みは分かっていないが、〈1〉排卵の抑制や遅延を引き起こす〈2〉子宮内膜を着床しづらい状態にする〈3〉子宮頸管(けいかん)の粘液の分泌が変わり、子宮内に精子が進入しにくい環境にする――などの作用が考えられている。

 現在、国内で使われている方法は、女性ホルモンの卵胞ホルモンと黄体ホルモンを合成した中用量ピルを、性行為の後72時間以内に1回、その12時間後にもう1回、2錠ずつ服用する方法だ。考案した産婦人科医の名前から「ヤツペ法」と呼ばれ、1970年代から広まった。

 海外の研究では、ヤツペ法による妊娠率は3・2%。これは一般に、薬を使わない場合の4分の1程度に抑えられる計算になる。ただ、通常の避妊薬である低用量ピルより女性ホルモンの含有量が多く、吐き気や嘔吐(おうと)、倦怠(けんたい)感などの副作用がある。

 この中用量ピルは、強い生理痛などを伴う月経困難症や月経周期異常の治療薬として認められているものの、緊急避妊薬としては承認されておらず、費用は自費になる。施設によって差はあるが、平均5000円ほどだ。

 一方、欧米では90年代後半から、黄体ホルモン単独のピルを使った方法も登場した。ヤツペ法に比べ、黄体ホルモン単独剤は副作用が少なく、服用も1回で済み、妊娠率が低いとのデータがある。

 世界保健機関も推奨している方法なのに、まだ国内では承認されていない。メーカーが昨秋、承認を目指し、黄体ホルモン単独剤の臨床試験を始めた段階だ。

 国内では、年間約30万件の人工妊娠中絶が行われているが、緊急避妊の認知度はまだ低い。厚生労働省研究班が先月まとめた男女3000人へのアンケート調査では、緊急避妊を知っていたのは24%にとどまった。

 日本家族計画協会クリニック(東京・市ヶ谷)所長の北村邦夫さんは「避妊するなら、日常的にコンドームや低用量ピルを使うのが大前提」とした上で、「緊急避妊の知識がないばかりに中絶せざるを得なくなり、心身とも傷つく女性も相当いるのではないか」と指摘している。
緊急避妊に取り組む医療機関

 緊急避妊ホットライン((電)03・3235・2638、平日10〜16時)では、緊急避妊が必要になった女性に、ピルを処方する約1300か所の医療機関を紹介している。なお、一部の都道府県警は一昨年、犯罪被害者等基本法の施行により、レイプ被害者に緊急避妊薬の費用を負担している。
(2007年4月6日 読売新聞)