リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

10代の中絶率増減のなぞ

前から気になっていた――どうして1990年代後半からの10年ちょっとのあいだだけ、10代の中絶が急増し、また急速に落ち着いていったのか。

厚生労働省発表の「衛生行政報告例の概要」の「母体保護関係」のページの最後のグラフで「20歳未満」の線を見ると、平成8年(1996年)からぐんぐんと増えていき、平成13〜14年頃をピークに今度は減少していき、ここ数年は上昇する前のレベルよりやや上で横ばいに転じている。

漠然と、「援助交際」の盛衰が関連しているのではないかと考えていたのだけど、そんなに的外れでもないのかもと思ったのは、ちょうとその頃、出会い系サイト規制法ができたのだと気づいたから。

まずは平成15年(2003年)にインターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律が成立し、施行された。そして平成20年(2008年)に取り締まりを厳しくすべく法改正されたらしい。次を参照。

警視庁 出会い系サイト規制法について
警視庁 出会い系サイト規制法の改正

警視庁が示している「例文」を見る限り、これら出会い系サイトの取り締まりは、「男女児童」ではなく「未成年女子」を成人男性による誘惑や買春から守るために行われたのだと言えそうです。

こうした取り締まりが功を奏してなのか、実際にこのころから10代の妊娠、そして中絶が減っているんですね。だとしたら、増えたのは「援交」が広まったためだったわけ??? だとしたら、マスコミの罪は重い・・・。

おまけですが、上記改正と同じ年の平成20年(2008年)には、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律も成立しています。いわゆるフィルタリング・サービスの徹底を狙ったものですが、有害サイトによる金銭的な被害の防止に加えて、未成年のポルノ視聴を制限することも狙っていたのかどうかは不明。