リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

出生前診断比較表(続き)

昨日の続きです。出生前診断情報センターというサイトに、別の比較表が載っていました。

各診断方法についても少し詳しい情報があります。たとえば、絨毛検査に該当するらしい項目(絨毛採取)については次の通りです。

  • 絨毛採取とは

母体から胎児への栄養分の供給や胎児の不要物の排出などは胎盤を通じて行われます。その胎盤を形成する組織の一つである絨毛は胎児由来の細胞で作られています。絨毛採取は、採取した絨毛を培養して得られる細胞や直接抽出したDNAを用いて、胎児の染色体や遺伝子を分析します。

  • 具体的な検査方法

超音波検査によって胎盤の位置を確認しながら、カテーテルを子宮頸部に通したり,針を妊婦の腹壁に挿入したりして、絨毛を採取します。採取した胎児の細胞を培養して染色体の数や構造を調べ、染色体に異常が無いかを調べます。

昨日見つけた表とは若干違うところがあります。特に気になるのは検査可能な期間。

  • どんな異常が分かるか

神経管奇形、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー

  • 検査可能な時期は

検査時期は9週〜13週です。

  • 結果が分かるまでの日数は

約2週間です。

  • 検査費用は

10〜15万円程度。全額自己負担です。

  • 絨毛採取の検査精度

胎児の細胞を増やして染色体異常を調べます。本数が2本か(正常)3本か(異常)、形が正常か、といったことが分かりますが、必ずしもすべての染色体異常が分かるわけではありません。

中略します。読みたい方はこちらでどうぞ。

  • 絨毛採取のメリット

・胎児の細胞の染色体を分析するため、確定的な診断が可能です。
・羊水穿刺や母体血清マーカーテストよりも早い時期、9週目から検査ができます。

  • 絨毛採取のデメリット

・流産のリスクがあります。
・出血、腹痛、羊水の流出、感染の可能性があります。
・可能性は非常に低くなっていますが、針が子宮内の胎児に触れる危険があります。
・検査ができる時期が9週から11週と短い期間です。

あれ? 検査できるのは13週までじゃないのですか? 「検査期間」というのは、結果が出る時期まで入れていたのかな?

9-11週しか受けられないから、新型出生前診断の結果を見た後の確定診断には、この方法でなくもっと妊娠の遅いタイミングで行える羊水穿刺がよく使われるわけですね。

おそらくこの絨毛採取という方法は、たとえば先に生まれたきょうだいに疾患があるなどのため、スクリーニング検査を飛ばして確定検査を早めに受けたい人に使われているのでしょう。値段もそれなりに高いです。

結局、新型出生前診断の確定検査をしてから中絶を考える・・・となると、どうしても妊娠中期以降の中絶になってしまうようです。

辛い選択ですね・・・。新型出生前診断を受ける前に、この検査の可能性と限界を理解し、自己決定するためのカウンセリングは行われることになったようですが、結果が出た後の決断を支えるカウンセリングというものもきちんと行われているのだろうかと、気になるところです。

仮に結果が陽性だったとして、産むにせよ、産まないにせよ、判断するのは難しいし、診断に間違いがあった場合の動揺を受け止め、支えていくためのカウンセリングも行われるべきだと思います。

私個人は出生前診断を受けることに賛成でも反対でもありません。ただ、あまりにも料金が高いので、受けたくても受けられない人が出てくることは問題だと思います。

自分自身は、トリプルマーカーというスクリーニング検査は受けましたが、仮にその結果が悪くても流産の恐れを伴う羊水診断は受けないつもりでいました。それでも受けたのは、いわゆる高齢出産だったので、万が一、障害の可能性が高かったら、それなりに覚悟して準備しておきたかったからです。私の場合は結果的に年齢に比した値で、医者に確定診断を勧められるようなこともなかったし、さほど気にしていませんでしたが、生まれるまでは、やっぱり「何があっても受け入れよう」という覚悟は決めていたつもりです。

実際、生まれた後の方が、思ってもいなかったこと(悪いことばかりじゃなく、いいことも含めて)がいろいろあって、子どもって、自分の思うようになんて全然育たないものだということを痛感させられました。いや、今も日々痛感しています。