リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

絨毛の目視による中絶完了の判断について

villiとabortionで検索して見つけたもの

プロチョイス・オルグのページで出てきた。マニュアルの一部らしい。
https://www.prochoice.org/pubs_research/publications/downloads/professional_education/TextbookCh10.pdf

さらにClinical practice handbook for safe abortion©WHO(世界保健機関)2014の翻訳版>
『安全な中絶のための臨床実践の手引き』© すぺーすアライズ 2015からの情報をコピペします。

10. 組織を検査します。
 中絶が完全に完了したことを確実にするために、受胎生成物の検査は大切です。組織を検査するために、子宮からの吸引物を適切な容器に空けてください(汚染されてしまうので、吸引された内容物をカニューレを通して押し出さないでください)。
 次のものを探します。
・妊娠期間相応の適切な量の絨毛、脱落膜、嚢/皮膜などの、受胎生成物の存在と量。妊娠 9 週より後では、胎児の部位が目視できます。
・ぶどう様の水腫状腫大の絨毛の存在。これは胞状奇胎妊娠を示唆します。 目視検査では結論に達することができない場合、組織をろ過し、透明容器に入れ、水または酢に浸し、光を下から当てて調べます。異常な所見が示された場合、組織の検体を病理検査室に送ります。
・受胎生成物が全く目視できない場合、子宮から取り除かれた組織が予期される量よりも少ない場合、または組織の標本では結論に達することができない場合には、次のことを示唆しているかもしれません。
- 不完全な中絶:処置の終わりに子宮が空になったように見えても、子宮腔にまだ受胎生成物があります。
- 処置の前に自然流産が完了してしまっていること。
- 中絶の失敗:子宮腔にすべての受胎生成物が残されています。
- 異所性妊娠:絨毛が全く見られない場合、異所性妊娠の可能性があり、検査が必要です。
- 解剖学的異常:双角子宮、または中隔子宮の場合、妊娠が起きていない子宮の側にカニューレが挿入された可能性があります。
・組織検査において、胎嚢/膜組織、及び絨毛が存在することが、完全には明白ではないならば、存在しないものと仮定して、再度吸引を試み、及び/または異所性妊娠かどうかについて評価してください。

以下のクリニックMVAの方法を具体的に細かく説明している。

手術方法は原則、全例MVA(手動真空吸引)法にて行います。
MVAキットにて吸引不可組織には電動吸引並びに手術鉗子併用いたします。静脈迷妄麻酔後に滅菌処理されたMVAキットを開封します。
キットにはダブルバブルアスピレータの他にダイレータとカニューレが入っております。子宮ゾンデにて子宮内腔長を測定し、その長さまでダイレータを挿入し、カニューレが子宮内腔にスムース入るように拡張していきます。ご出産されていないかたは前日にラミセルによる頚管拡張を行うことによりさらに子宮内膜への接触を少なくすることが可能ですので、出産されていないかたはより安全な前処置を行ってください。
ダイレータによる拡張の後にアスピレータのダブルバルブを閉じてブランジャを牽引することにより手動吸引内圧を600mmHgの電動吸引より強い陰圧環境にて吸引していきます。
吸引前に子宮内腔並びに週数に応じたカニューレを子宮内に挿入します。前日に頚管拡張を行った場合はさらに1-2mm大きなカニューレを使用することが可能となり取り残しを少なく出来ます。
吸引準備完了し、最大圧のアスピレータ吸引器をカニューレに装着いたし、ダブルバルブを開放いたします。
アスピレーターをゆっくりと時計回り並びに反時計回りに回転しながらアピレータを手前に引いていくことにより子宮内容物は半透明のカニューレを通ってアスピレータに内容が引き込まれていきます。
アスピレータ内も透明なので胎児成分絨毛確認が視認容易です。週数に応じてカニューレの開口部が大きくなっていますが強力な陰圧により目詰まり起こしますので、詰まり解除し再度上記施術行うことにより2回の操作で内容ほぼ吸引されます。
当院ではさらに遺残確認のため極小子宮鉗子を子宮内腔に接触しないよう挿入し時計回り並びに反時計回りに確認処置も行っております。
前日頚管拡張されたかたはより少ない子宮接触を期待できます。上記おおよそ15分前後で手術完了します。

なぜこれが引っかかったのかというと、日本の産婦人科医師たちが作成しているガイドラインには、「絨毛」の目視しか書いてないから。どこから、何週目くらいから「胎嚢」あるいは「胎児」の確認に移行するのかが疑問だった。しかし、上記の説明によると、9週目くらいからは「胎児」で確認できるようなので、やはり絨毛は超初期の確認対象なのだろう。となると、日本の中絶の大半は「絨毛」で確認するしかない時期に行われているということなのだろうか?