リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

包括的性教育

自分の権利、相手の権利、関係性のありかた/つくりかたを知った上で性を学ぶ

イギリスではこの9月から新しい「関係性・性教育(relationships sex education =RSE)」が学校教育に取り入れられることになりました。英国政府のサイトに詳しいガイダンスがあります。
www.gov.uk

ガイドラインの中に入ると、Sexwise.website*1で関係性やリプロダクティブ・ヘルスの詳しい情報が得られるとしてリンクが貼ってあり、クリックすると「セックスについて語ろう!」「あなたに避妊、妊娠、性感染症と快楽(プレジャー)について誠実なアドバイスをするために私たちはここにいます」とのメッセージと、横には男女のカップル、男性同士のカップル、傘の向こうに隠れた女性2人らしき姿等々の写真が添えられています。

下の方にカーソルを動かすと「助けを見つけてね(Find help with)」→そして6つのエリアがでてきます。

このうち「計画外の妊娠」をクリックすると出て来るのが、「妊娠、どうしていいか分からない?」「中絶:あなたの質問に答えます」「中絶とCOVID-19」の3つのコーナー。2番目の「中絶」のコーナーで「もっと読む」を選ぶと、「中絶って合法?」から「中絶後、いつから避妊を始めればいいの?」まで、ずら~っと並んだ21もの質問があり*2、それぞれクリックすると回答が出て来るしくみ。22個目は「さらなる情報」となっていて、頒布されている詳しい小冊子を紹介するページが開きます。

とにかく内容が盛りだくさんで、しかも、すでにCOVID-19に関する情報が掲載されているように、科学的でアップトゥーデートであることが徹底されているのです。女性団体とかではなくて、政府がやっているサイトですよ!

日本では残念ながら、文部科学省厚生労働省もきちんとした性の情報を出していないし、このようにフットワーク軽く、変化に対応できていません……中絶薬については間違った情報を20年近くも晒したままであるように、特にリプロについては動きが鈍重……。

日本では、最近、ピルコンさんが「ピルコンが取り組む社会課題」として包括的性教育を紹介する活動を展開しています。ユニークな動画を翻訳して紹介するページもありますので、ぜひご注目ください。
pilcon.org

*1:「賢くセックスしよう」という名もすごい!

*2:なんで費用に関する疑問がないのだろう?と思ったんだけど、イギリスでは中絶に保健がきくから無料だし、そのこと自体、すでに子どもにも「常識」として知られているのだろうなと気が付いた。