リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

産まない選択肢

忘備録:チャイルドフリー、自発的不妊手術

チャイルドフリーや自発的不妊手術については、あまり積極的に情報収集してこなかったのですが、Google Scholarで検索したところ1970年代から議論は始まっています。女性の権利運動と人口会議の動向などが影響して、「リプロダクティブ・フリーダム」の一端を担う考え方として出てきたように思われます。

書棚に3冊の本がありました。
①スーザン・S・ラング著『チャイルド・フリー 子どもがいない女の生き方』訳者は医師の海原純子さん(講談社1993年)。原著はSusan S. Langの”Women Without Children: The Reasons, the Rewards, the Regrets”(1991年)Lang自身は、医療や心理、ハウツー本などのライターで、上記の本がデビュー作のようです。
②ジェーン・バートレット著『「産まない」時代の女たち――チャイルド・フリーという生き方』遠藤公美恵訳(新曜社2004年)
③オルナ・ドーナト著『母親になって公開している』鹿田昌美訳(新潮社2022年)

近年この話題もタブーではなくなりつつあるように思います。Orna Donathのデビュー作は”Making a Choice: Being Childfree in Israel(2011年)で、日本でも訳された上記の2作目(2016年)はヨーロッパを中心に大きな反響を巻き起こしたそうです。海外でもやはり「女が産まない」ことはタブーや偏見があったようですが、最近になって一般にも注目されるようになったようです。

World Health Organization(WHO)は1992年に、詳細なガイド "Female sterilization : a guide to provision of services"(https://apps.who.int/iris/handle/10665/40133)を発行していました。この不可逆的な医療処置を行うために、いかに強制されたものでないかをしっかり確認するのか、予後を良くするためにどのような手法が考えられるかなど論じているようです。
Female sterilization : a guide to provision of services