リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

FDA、ミフェプリストンREMSプログラムの変更について説明

U.S. Pharmacist誌 2023年4月3日発行

FDA Explains Changes in the Mifepristone REMS Program

仮訳します。
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 ワシントンD.C.——ミフェプリストンをめぐる論争が加熱し続け、最近、妊娠10週までの内科的中絶に使用される際に同薬に求められるREMS(リスク評価・リスク軽減戦略)の必要性について争う訴訟が起こる中、FDAは最近、Mifeprexとその後発品に関する立場を明らかにした。

 「ミフェプリックスとそのジェネリックであるミフェプリストン錠200mgは、ミフェプリストンREMSプログラムとして知られる、単一の共有システムリスク評価・軽減戦略(REMS)の下で入手可能であり、妊娠10週までの妊娠の医学的終結のためのミフェプリストンについて従うべき要件を定めている」とFDAは3月半ばにオンラインで公開したアップデートで述べた

 このプログラムでは、ミフェプリストンは、認定処方者によってまたは認定処方者の監督下にある者によって調剤される必要があり、認定処方者が発行した処方箋については認定薬局が調剤を行うが、対面または郵送による調剤も可能だとしている。

 ミフェプレックスは2000年に何の制限もつけずに承認されたが、FDAジェネリック医薬品を承認した2019年に、内科的中絶に使用する場合のミフェプリストン製品について、単一の共通制度のREMSを承認した。

 ミフェプリストンREMSプログラムは、2023年1月3日に修正された。ミフェプリストンREMSプログラムでは、FDAは以下のことを要求している:

  • ミフェプリストンは、一定の資格を満たし、ミフェプリストンREMSプログラムの認定を受けた医療従事者によって処方されなければならない。
  • ミフェプリストンを処方するための認定を受けるために、医療従事者は処方者同意書に記入しなければならない。
  • 「患者同意書」は、患者と医療従事者が一緒に確認し、署名しなければならず、ミフェプリストンを処方する前に、ミフェプリストン治療レジメンのリスクについて患者さんに十分説明しなければならない。
  • 患者には、患者同意書とミフェプリストン投薬ガイド(FDAが承認した患者向け情報)のコピーを提供しなければならない。
  • ミフェプリストンは、認定処方医が発行した処方箋に基づき、認定処方医または認定薬局によってのみ、またはその監督下で調剤されることができる。
  • ミフェプリストンを調剤するための認定を受けるには、薬局は薬局同意書に記入する必要がある。
  • 認定薬局は、追跡情報を提供する配送サービスを使ってミフェプリストンを発送できなければならない。
  • 認定薬局は、ミフェプリストンが速やかに患者に調剤されることを保証しなければならない。

 「2023年1月のミフェプリストンREMSプログラムの修正前、対面調剤の要件が実施されない期間があった」とFDAは指摘しています。「2020年7月13日から2021年1月12日まで、ACOG対FDA訴訟のために発行された差し止め命令により、FDAは対面調剤要件の実施を差し止められていた。2021年4月12日、FDAは、COVID-19公衆衛生上の緊急事態の間、対面調剤要件に関して裁量権を行使する意向を表明した。」

 2021年、ミフェプリストンREMSプログラムの包括的な見直しを行った後、FDAは医療提供システムの負担を軽減するためにREMSを修正することを決定した。FDAは2021年末に、ミフェプリストンREMSプログラムは、ミフェプリストンを特定の医療環境(診療所、医院、病院など)でのみ調剤するという要件(実質的に対面調剤要件)を削除する方向に修正すると発表した。また、ミフェプリストンを調剤する薬局は認定を受けねばならないとする要件も追加された。

 ガイダンスでは、ミフェプリストンを処方する認定を受けようとする医療従事者は、妊娠の正確な日付決定能力と子宮外妊娠を診断する能力を有していなければならないとしている。また、必要な外科的介入を行えるか、もしくは第三者に行わせることができるよう手配をしていることと、さらに、患者が緊急治療のために医療施設にアクセスできることを保証できなければならない。

 「州によっては、医師以外の医療従事者に薬の処方を認めているところもある。医療従事者は、各州の法律を確認する必要がある」とFDAは付け加えた。

 また、FDAは、REMSが、妊娠期間と子宮外妊娠について、医療者が患者を臨床的に評価する方法を義務付ける必要はないと判断し、「内科的中絶の禁忌となりうる患者の病歴を確認するために、認定処方者が患者と物理的にじかに接触する必要はなく、他の医療環境で行うこともできるため、認定処方者はミフェプリストンを処方する際に必ずしも患者と物理的に同席する必要はない 」と説明している。

 一方、FDAは、ミフェプリストンをオンラインで購入したり、個人的に外国から輸入したりすることを強く否定しています。

 中絶をめぐる争いは、外科手術だけでなく、内科的中絶にますます焦点が当てられており、薬局はしばしば不安定な立場に立たされてきた。このたび、中絶の権利を支持する12の州の司法長官が、ミフェプリストンにREMSに反対して連邦訴訟を起こした。

 ワシントン州のボブ・ファーガソン司法長官は、バイデン政権が内科的中絶に使われる2種類の薬のうちの1つであるミフェプリストンを過剰に負担のかかる規制の対象にしと主張し、FDAに対する複数州の連邦訴訟のけん引役の一人になっている。

 また、ファーガソン氏は、裁判が続く間、FDAによるミフェプリストンに対する規制を差し止めるよう裁判所に求める仮処分も申請した。 

 この訴訟では、フェンタニルのようなオピオイドや高用量の鎮静剤など、本来危険な薬にのみ適用されるはずのREMS制限に該当する薬は60種類しかないと指摘している。