第2次計画に対する批判が全くないことにびっくり!
男女共同参画基本計画|日本女性学習財団|キーワード・用語解説
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男女共同参画基本計画
男女共同参画社会基本法に基づく初の国内行動計画として、2000年12月に「男女共同参画基本計画」が閣議決定された。同基本計画は、男女共同参画審議会の答申「男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方-21世紀の最重要課題」に沿ってつくられたもので、以下の11の重点目標を掲げ、2010年までの「施策の基本的方向」と2005年度までに実施する「具体的施策」を示した。1)政策決定への女性の参画拡大 2)社会制度・慣行の見直し 3)雇用における機会均等 4)農山漁村の男女共同参画 5)職業と家庭・地域生活の両立 6)高齢者が安心して暮らせる条件整備 7)女性に対する暴力の根絶 8)女性の健康支援 9)メディアにおける女性の人権尊重 10)男女共同参画推進への教育・学習の充実 11)地球社会の「平等・開発・平和」への貢献。(2001.1)
第2次男女共同参画基本計画(2005年12月閣議決定)
改定は、長期的経済活動の低迷と雇用環境の悪化、グローバル化の進展、情報化・知的価値重視、少子高齢化と家族形態の変化、地域社会の変化など、国内外の状況の変化を背景に行われたもので、専門調査会の報告を受けて男女共同参画会議がまとめた答申に基づき策定された。従来の11の領域に、「新たに取組を必要とする領域」として科学技術、防災、地域おこし・街づくり・観光、環境を加えた12の重大問題領域を掲げ、2020年を見通した「施策の基本的方向」と、2010年度末までに実施する具体的施策の内容を示したものである。「女性のチャレンジ支援策」などの施策が新たに組み込まれた。(2006.1)第3次男女共同参画基本計画(2010年12月閣議決定)
第3次改定では、計画を実効性あるものにするため、15の重点分野すべてに「成果目標」が示された。注目されるのは防災分野である。第2次改定で「新たな取り込みを必要とする分野」の中に盛り込まれていた「防災」を、今回の改定では、第14分野「地域、防災・環境その他の分野における男女共同参画の推進」として掲げた。成果目標「女性委員のいない都道府県防災会議の数13(2009年)→0(2015年)」「全国の女性消防団員19,103人(2010年)→10万人」も新設された。東日本大震災(2011.3)の被災経験を踏まえ、防災・復興体制に更なる男女共同参画視点の強化が求められる。(2011.8)
(『We learn』 2011年2、7月号「資料情報」に関連記事掲載)第4次男女共同参画基本計画(2015年12月閣議決定)
第4次改定では、長時間労働や転勤が当然で、家事・育児・介護等への主体的参画を困難にする男性の働き方・暮らし方の見直しや、「仙台防災枠組2015-2030」(2015)で確認された防災・復興における女性の参画とリーダーシップの重要性等が改めて強調された。そのため重点的に取り組む12分野の中に、第1分野「男性中心型労働慣行等の変革と女性の活躍」、第11分野「男女共同参画視点にたった防災・復興体制の確立」が置かれた。(2016.3追記)
(『We learn』 2016年2、3月号「学びのスイッチ-男女共同参画A to Z」に関連記事掲載)
第5次男女共同参画基本計画(2020年12月閣議決定)
男女共同参画社会基本法に基づき、施策の総合的かつ計画的推進を図るため、3つの政策領域(「Ⅰ あらゆる分野における女性の参画拡大」、「Ⅱ 安全・安心な暮らしの実現」、「Ⅲ 男女共同参画社会の実現に向けた基盤の整備」、領域下に重点取組の11分野)と、「Ⅳ 推進体制の整備・強化」について、2030年度末までの「基本認識」、2025年度末までを見通した「施策の基本的方向」及び「具体的な取組」、取組の実施により達成を目指す「成果目標51」を示している。第5次への改訂は、新型コロナウイルス感染症の拡大による女性への影響、デジタル社会への対応、頻発する大規模災害、SDGsに向けた世界的潮流等の社会情勢、指導的地位に占める女性割合を高める取組の遅れやジェンダー・ギャップ指数の低迷等の現状を踏まえて行われた。若年世代を主体とした取組と連携しながら、国際社会のスピードに合わせて日本の男女共同参画を推進していく必要性を明示している。(2021.3)
鹿島敬氏が2017年の講演で、計画策定委員であったご自分のリプロ理解(誤解・無理解)の片りんを明らかにしている。
※リプロ=1994年・カイロの国際人口・開発会議提唱の概念
・リプロダクティブ・ヘルス
⇒女性の健康(身体的、精神的、社会的に良好な状態)の自己決定権を保障
・リプロダクティブ・ライツ
⇒すべての人の基本的人権
・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ
⇒子どもをいつ何人産む産まないの自由 安全な妊娠、出産 満足な性生活
社会、組織、大学の男女共同参画は進化しているか
一般財団法人女性労働協会会長 鹿嶋 敬 2017.11.30
鹿嶋氏は2017年7月の著書『男女平等は進化したか』の中でも次のように論じている。
第四次計画もリプロダクティブ・ヘルス/ライツの視点の重要性は「第6分野 生涯を通じた女性の健康支援」の「基本的な考え方」の中で指摘している。第一次計画当時に比べれば、リプロダクティブ・ヘルス/ライツという言葉、あるいはその重要性を繰り返し記載しているわけではない。当時に比べ、現在はその意味、重要性がすでに認識されているという判断に立っているからだ。とはいうものの、社会の一部の風潮にhあ、リプロ、すなわち子どもを産む、産まないは女性の権利という主張が深刻な少子化を招いているといった批判的な言説すらあるのは事実である。
氏にとっての「リプロ(ダクティブ・ライツ)」とは「産む、産まない(そ決めるの)は女性の権利」という狭義の自己決定権でしかない。