リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

WHOのSafe Abortion 2003に見られるミソプロストールへの懸念

There are concerns about the consequences of ongoing pregnancies with the use of misoprostol alone (Fonseca et al. 1991, Gonzalez et al. 1998, Schonhofer 1991, Orioli and Castilla 2000). Further research is needed to evaluate the possible teratogenicity of misoprostol. (p.38)
仮訳します。

ミソプロストールの単独使用による妊娠継続の結果について懸念がある(Fonsecaら 1991年、Gonzalezら 1998年、Schonhofer 1991年、Orioli and Castilla 2000年)。ミソプロストールの催奇形性の可能性を評価するためには、さらなる研究が必要である。

2012年の第二版から全く言及がなくなったのは、おそらく以下の報告書のような考え方が優先されたのではないかと思います。

2002年にポピュレーション・カウンシルとGynuityの共同で開かれた「ミソプロストールと先天異常」に関する会議 - リプロな日記

どんな治療法でも「ゼロリスク」はありえません。ほぼめったにありえないような「中絶薬使用後の妊娠継続で誕生した子どもの先天障害」を理由に「危険な薬」だとレッテルを貼り、ほとんどの女性にとってアクセスの悪い薬にしてしまうというのは、公衆衛生の観点からも、リプロヘルスの観点からも、女性差別撤廃の観点からも間違いです。