リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

アイルランドは女性の人権侵害をなくすために中絶を合法化しなければならない

2016年国連人権委員会は「メレット対アイルランド」でアイルランドは人権としての中絶の権利侵害を認めた

Ireland must legalize abortion to end violations of women’s human rights

仮訳で一部紹介します。

女性の人権侵害をなくすために、アイルランドは中絶を合法化しなければならない
2016年6月、国連人権委員会は、メレット対アイルランドの裁判において画期的な判決を下した1。同委員会は、中絶を禁止し犯罪化することによって、メレットさんがアイルランドで中絶サービスを受けられないようにすることで、国家は彼女に深刻な精神的・感情的苦痛を与えたと判断した。その結果、アイルランド市民的及び政治的権利に関する国際規約第7条、第17条及び第26条に明記されている残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱いからの自由、プライバシー及び法の下の平等に対する彼女の権利を侵害した。この委員会の決定は、アイルランドに対するこの種の裁定としては初めてのものであるだけでなく、いかなる国家に対する個人の訴えに対する決定においても、国際的あるいは地域的な裁判所あるいは準司法機関が、中絶を禁止し犯罪化することは女性の人権を侵害すると明確かつ明白に判示した初めてのものである。

市民的及び政治的権利に関する国際規約(ICCPR、自由権規約)第7条、第17条及び第26条(外務省訳)は以下の通り:

第7条
 何人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けない。特に、何人も、その自由な同意なしに医学的又は科学的実験を受けない。


第17条
1 何人も、その私生活、家族、住居若しくは通信に対して恣意的に若しくは不法に干渉され又は名誉及び信用を不法に攻撃されない。
2 すべての者は、1の干渉又は攻撃に対する法律の保護を受ける権利を有する。


第26条
 すべての者は、法律の前に平等であり、いかなる差別もなしに法律による平等の保護を受ける権利を有する。このため、法律は、あらゆる差別を禁止し及び人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位等のいかなる理由による差別に対しても平等のかつ効果的な保護をすべての者に保障する。

これらの条項は、一般に次のように呼ばれている。
自由権規約
第7条 残忍な、非人道的な又は品位を傷つける取扱いから自由である権利
第17条 プライバシーに対する権利
第26条 法の下の平等に対する権利


メレット対アイルランドでの判示は、翌年のウィーラン対アイルランドで追認された。