リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

女性差別撤廃条約に書き込まれた中絶

一般勧告第 19 号 女性に対する暴力(第 11 回会期、1992 年)

女子差別撤廃委員会による一般勧告(内閣府仮訳)


第 16 条(及び第5条)
22. 強制的な不妊手術又は中絶は、女性の身体的及び精神的健康に悪影響を及ぼし、子の数及び出産の間隔を選択する女性の権利を侵害する。
特定の勧告
24. これらのコメントにかんがみて、女子差別撤廃委員会は、次のことを勧告する。
(m)締約国は、生殖能力及び生殖に関する強制を防止するための措置がとられるように確保すべきである。また、女性が、避妊に関する適切なサービスの欠如のために非合法な中絶といった安全でない医療処置を求めることを余儀なくされることのないように確保するための措置がとられるように確保すべきである。
第 16 条1(e)
21. 子を産み育てるという女性の責任は、教育、雇用及びその他の個人的発展に関する活動を享受する機会に対する女性の権利に影響を与える。かかる責任はまた、労働に関する不平等な負担を女性に課す。子の数及び出産の間隔も女性の生活に同様の影響を与え、また子の身体的及び精神的健康とともに、女性の身体的及び精神的健康に影響する。このような理由により、女性は子の数及び出産の間隔に関して決定する権利を有する。
22. いくつかの報告により、強いられた妊娠、中絶もしくは不妊手術などの強制的な慣行が、女性に対して重大な結果を及ぼすことが明らかにされている。子を持つか持たないかという決定は、配偶者もしくはパートナーと相談の上なされる方が好ましいけれども、配偶者、親、パートナーもしくは国家により制限されるべきではない。安全で信頼できる避妊措置について十分に情報を得た上で決定するために、女性は、条約第 10 条(h)
に規定されるように、避妊措置とその利用に関する情報を得、性教育及び家族計画サービスを享受する機会を保障されなければならない。
23. 生殖に関する任意の規制のための適切な措置が自由に利用できることにより、家族の構成員すべての健康、発展及び福祉が向上するという一般的な合意が存在する。さらに、かかるサービスは、国民の生活及び健康の質全般を改善し、また人口増大の任意の規制は、環境を保全し、持続可能な経済的及び社会的開発を達成することに役立つ。

一般勧告第 21 号 婚姻及び家族関係における平等(第 13 回会期、1994 年)

第16条1(e)
22. いくつかの報告により、強いられた妊娠、中絶もしくは不妊手術などの強制的な慣行が、女性に対して重大な結果を及ぼすことが明らかにされている。子を持つか持たないかという決定は、配偶者もしくはパートナーと相談の上なされる方が好ましいけれども、配偶者、親、パートナーもしくは国家により制限されるべきではない。安全で信頼できる避妊措置について十分に情報を得た上で決定するために、女性は、条約第 10 条(h)に規定されるように、避妊措置とその利用に関する情報を得、性教育及び家族計画サービスを享受する機会を保障されなければならない。

一般勧告第 24 号 (第 20 回会期、1999 年)(第 12 条: 女性と保健)

序論
1. 女子差別撤廃委員会は、リプロダクティブ・ヘルスを含む保健サービスを享受する機会は女子差別撤廃条約に基づく基本的権利であることを確認し、条約第 21 条に基づき、同委員会第 20 回会期において、条約第 12 条に関する一般勧告を練り上げることを決定した。
背景
2. 女性の健康と福祉にとって、締約国が条約第 12 条を遵守していることが重要である。このためには、締約国は、ライフサイクルを通じて、とりわけ家族計画、妊娠、分べんの分野及び産後の期間中において、保健サービスを享受する機会における女性に対する差別を撤廃することが求められる。条約第 18 条に従い締約国によって提出された報告を検討すると、女性の健康は女性の健康と福祉を促進する上で重要な問題として認識されている課題であることが明らかである。締約国並びに女性の健康を巡る諸問題に特に関心を持ち、また懸念する人々のために、本一般勧告は、委員会の第 12 条の解釈を詳しく述べ、達成可能な最高水準の健康に対する女性の権利を実現するために差別を撤廃するための措置に取り組むよう努めるものである。
3. 最近の国連のさまざまな世界会議においても、これらの目標が検討された。本一般勧告の作成に当たり、委員会は、国連の世界会議において採択された関連のある行動計画、とりわけ 1993 年の世界人権会議、1994 年の国際人口開発会議及び 1995 年の第4回世界女性会議の行動計画を考慮した。委員会はまた、世界保健機関 (WHO)、国連人口基金 (UNFPA)、その他国連機関の活動にも留意した。また、委員会は、本一般勧告の作成に当たり、女性の健康に関して特別な専門知識を有する数多くの非政府機関とも協力した。
4. 委員会は、他の国連文書が健康に対する権利並びに健康を達成することができる状況に対する権利を重視していることに注目するものである。かかる文書は、世界人権宣言、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、市民的及び政治的権利に関する国際規約、児童の権利に関する条約及びあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約を含む。

31. 締約国は、また、とりわけ次のことも行うべきである。
(c)家族計画及び性教育を通じて望まない妊娠の予防を優先事項とし、安全なマザーフッド・サービス及び産前の援助を通じて妊産婦死亡率を低下させること。可能な場合は、妊娠中絶を刑事罰の対象としている法律を修正し、妊娠中絶を受けた女性に対する懲罰規定を廃止すること