リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

政府における子育て支援の当事者・支援者の思いからの乖離

子育て支援施策の変遷~1990年以降の子育て支援施策を中心として~ 齋藤克子(佳津子)

http://repo.kyoto-wu.ac.jp/dspace/bitstream/11173/224/1/0140_001_004.pdf研究ノート

3.3 政府主催の「有識者会議」「閣僚会議」「国民会議」の設置
 1998年 7 月から12月には、総理主催の「少子化への対応を考える有識者会議」が開催された。委員の半数は公募され、子育て中の親、支援者、専門職等の30~40歳代が委員として参加した。二つの分科会で討論した結果を「夢ある家庭づくりや子育てができる社会を築くために」という報告書にまとめた。この有識者会議の出席者でもある「子育て環境研究所」代表の杉山千佳は、行政の提言書としては、先駆的であり、かつ誰もが納得できるものが述べられていたと振り返る。(杉山,2005:95)また、1999年 5 月には、19閣僚からなる「少子化対策推進関係閣僚会議」が発足し、同年 6 月には、労働組合、企業経営者などの各界メンバーからなる「少子化への対応を推進する国民会議」が設置された。「日本子ども家庭総合研究所」の小山修は、これらの「有識者会議」「閣僚会議」「国民会議」から新エンゼルプランに向ける一連の流れに注目し、国民参加型の政策提案としては画期的であると大いに評価している。さらに、小山は、地方行政の推進に当たっては、当事者を巻き込んだ政策立案を期待していると述べている。(小山, 2002:69-72)国レベルでの政策提案には、小山や杉山が指摘するように、当事者や子育て支援実践者の意見が大きく反映されたが、地域での具体的な策定にあたっては、国の予算措置も少なく、地域住民の声は反映されなかった。「地方版エンゼルプラン」を策定した市町村は 4 割あまりで、中にはコンサルタント会社に丸投げをしていた例もあるという。(岩渕, 2004:178-179)この時期に、住民や有識者の意見が反映されなかったことが、2000年以降における、市民の「子育て支援実践」と「地方行政の施策」の乖離に繋がっていったのではないかと思われる。

少子化に関する基本的考え方について-人口減少社会、未来への責任と選択-

人口問題審議会(平成9年10月)
優先順位が逆転 根本的な考え方ではなく「結婚や出産を阻む要因の除去」が最初に

少子化の要因への対応
(1) 少子化の要因への対応の是非
-個人の望む結婚や出産を阻む要因を取り除く対応を図るべき-
……
(2) 少子化の要因への対応のあり方
-固定的な男女の役割分業や雇用慣行を是正し、子育て支援の効果的な推進を図る-
……
(3) 今後、更に議論が深められるべき課題
1.不妊が原因で子どもができない男女への対応等
……
2.多様な形態の家族のあり方
……

少子化に関する最近の動きについて

内閣府男女共同参画局総務課まとめ
図参照

男女共同参画局まとめ