リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

おととい友だちが貸してくれた藤原正彦氏のエッセー集『数学者の休憩時間』の冒頭に,妻がラマーズ式で出産することを選んだために,立ち合い出産に巻きこまれた話が出てくる(これを読めと貸してくれたわけだが)。男性全般に言えることなのか,合理性を重んじる科学者だからなおさらなのかは分からないけれど,自分がお産に“参加”を求められたときのあわてふためきようと,病院出産に対する無条件の信頼(?)ぶりが,わたしの連れあいとそっくりで(彼らの名誉のために付け足せば,管理出産に対する妻の不信を理解した後の呑み込みの速さもそっくりで),おもわず笑みがもれてしまった。

その友だちは臨月ももう終わり。来週には母になっているだろう。ぱんぱんに膨れあがったお腹に触らせてもらったら,妊娠期間のこと,子どもが生まれた夜のことなどが胸によみがえってきた……まるで初恋の記憶みたいに,甘酸っぱい。とてもとても幸せだったけど,妊娠と出産を通じて,自分が何かを失ったような気もしてならない。

たぶん,母になるということは,一種の再生なのだ。そういえば,リボーンというグループがあるよね。彼女たちは,どうしてリボーンという名前をつけたのだったかな。

今朝がた,いつのまにかふとんのずーっと向こう側に寝ていた娘が,はっと目をさました。すばやくあたりを見回したかと思うと,即座にわたしの隣にやってきた。目を閉じたまま,赤ん坊の頃とは比べようもないほど大きくなった(でも,まだわたしの3分の2くらいしかない)てのひらと足をつかって,へばりついてくる。暑苦しいのだけれど,そのままじっとして,娘の寝息を聞いていた。

まだまだ小さいけれど,ずいぶん大きくなったものだ……。いつまでこうしていられるものか。なんだかちょっぴりセンチになってしまった。