世界41ヵ国の30万人を超える人々が参加した2005年度のGlobal Sex Surveyの結果がまとめられた。英文の報告書は次を参照→ http://www.durex.com/jp/gss2005result.pdf
日本は昨年に引き続き「セックスの頻度」でダントツの最下位。世界平均103回のところ日本は45回で,次点のシンガポールの73回の約3/2でしかない。一般的にアジア諸国のセックス頻度は低いし,この調査は学術的なものとは言えないが,それにしてもこれほど大きな差がコンスタントに出ていることから,日本人の性行動の特殊性が幾分かは現れていると言えよう。
その一方,やはりアジア諸国の値がのきなみ低い*1セクシャル・パートナーの数については,日本は他の先進国並みで10.2人。世界平均の9人を超えており,カナダやアメリカの10.7人に迫り,イギリスの9.8人を超える値だ。
避妊や性感染症の予防措置を取らない無防備なセックスについては,世界平均の47%に迫る43%だった。*2
他に目を惹いたのは「セックス観」である。「自分のセックスライフについてオープンである」「刺激されたり,新しいアイディアを求めたりするのが好きだ」の2項目については41カ国中最低*3。同性愛経験者も4%で世界最低だった(世界平均は12%)。また,「パートナーに自分のニーズをちゃんと伝えられる」は中国の次に少なく,「私の性衝動は強い」「私のセックスライフは単調だ」も中国の次に多かった*4。つまり,セックスについてオープンではなく,新しいことを求めず,パートナーに要求せず,単調なセックスを少なめにしているという日本人のセックス状況が浮かび上がる。
だが,セックス頻度が低いからといって欲求不満だというわけでもない。日本人のセックス頻度に関する不満度はインド,中国,香港に次いで低い。ただし,インド,香港のセックスの頻度は日本の1.5倍,中国は2倍であったことをつけ加えておきたい。ただし,ベルギー(57%)とポーランド(56%)の恋人たちは満足度が非常に高かったが,中国(22%)と日本(24%)は最も満足していなかったとのコメントも見られる。
こうした調査結果が,日本人の性行動の何を反映しているのかは予断を許さない。そもそもこうした項目については,世界全体でも男女差が見られる。たとえば,男性が自分のセックス頻度に満足していない比率は41%だが,女性は29%だという。ここにたとえば,「あなたはなぜセックスをしますか」と問い,「子どもを作るため」「パートナーの要求に応えるため」「欲望を満たすため」「快楽を得るため」という選択肢でも与えて,男女別に集計したら,日本人の特殊性がより明確に出たのではないだろうか。