リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

日本産科婦人科學會雜誌. 68 2の書誌情報 2016年の合併症率

P2-24-2 我が国の人工妊娠中絶術の方法・安全性の地域格差の検討(Group24 女性ヘルスケア(その他),一般演題,公益社団法人日本産科婦人科学会第68回学術講演会)

10万件につき合併症率 搔爬で最大14285.7件! 1.4%に発生していることになる。

P2−242 我が国の人工妊娠中絶術の方法・安全性の地域格差の検討
日本医大1,三重大2,東北公済病院3
関口 敦子1,池田智明2,岡村州摩3,中井章人1
【目的】我が国の妊娠12週未満の人工妊娠中絶術の方法・安全性の地域格差の有無を検討する ,
【方法】母体保護法指定医のいる全国の産婦人科施設 4,154件に対し,2012年の人工妊娠中絶術についてアンケート調査を行 った,報告された 108,148 件(回答率 56% )について,47 都道府県ごとに ,人工妊娠 中絶件数・方法・合併症の件数を調査した.
【成績】全 国の 掻爬法・吸引法・併用法 (掻爬法 と吸引法)・薬物法の 施行率 は 各々 32.7% ,20.3% ,46.8%,0.3%で ,47,45,47,12県 で施行されていた.各県での各方法の施 行率は 4.6〜71.1% ,0〜57.4%,6.6〜95.4%,0〜3.1% で,各手術法の頻度には自治体により大きな差異があった,合併症発生頻度 (中絶術 10万件対)は全国平均355で,県により79.5〜1452.8 と幅があったが,45県で1000未満であった.各方法ごとの合併症発生頻度は,全国平均で 588.6,112.4,294.8,696.9 で,合併症を認めた県数は各々 37,32,1 県であった.これらの県での合併症発生頻度は,掻爬法 150.6〜14285.7,吸引法 69.3〜1176.5, 併用法 62.5〜3333.3,薬物法 66666.7 で ,薬物法と掻爬法で高率であった .合併症発生頻 度は各県の人工妊娠中絶件数や各方法の施行頻度とは相関しなかった .
【結論】各都道府県の人工妊娠中絶件数や方法は大 きく異なるが ,大部分の県で人工妊娠中絶術は安全に施行されていた .しかし,吸引法は他の外科的方法に比べて合併症を報告した都道府県数が最も少なく,県別の合併症発生頻度の最大値も低かった.よって,人工妊娠中絶術の安全性をより高めるためには,吸引法を主体とした方法への移行を今後検討してよいものと推察された.