リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

RCOGの中絶ガイドラインに見る医師たちの態度

残念ながら、日本で中絶医療を独占している指定医師たちは、WHOのガイドラインに従ってないばかりか、独自の手法を次代に伝授していくばかりで、エビデンスに基づいた中絶ケアの方法を打ち立てて来たわけではない。


海外では中絶に関する具体的な方法のガイドライン作りが行われている。


たとえば、英国のRCOGガイドラインは、『人工妊娠中絶を要求する女性たちのケア(エビデンスに基づく臨床ガイドライン)』というタイトルで、日進月歩の科学的エビデンスを盛り込むために改訂をくり返しており、現在は第7版が用いられている。


RCOGの臨床ガイドラインは中絶医療の詳細にわたって、推奨するケアの方法についてエビデンスを示しながら推奨強度別にランクを付けて具体的に提示している。そればかりか、中絶を巡る法的状況や倫理的問題などについても明確な見解を示している。


RCOGのガイドライン編集委員会は、「エビデンスを基盤にした医療とは、最良の研究で得られたエビデンスと臨床的な専門性および患者の価値観と統合させることを意味する」(RCOG, 2011)と捉えており、ベストプラクティスの実現を妨げている社会文化的な要因にも目を配っているためである。


そこには、プロとして一定の良識を共有しながらケアの受け手のためにより良い医療の実現を目指していくという明確な姿勢が感じられる。日本の指定医師たちにも、科学的エビデンスに基づいてより良い中絶医療を提供していく姿勢を求めたい。