リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

乳がんに罹患する人より中絶経験者の方がはるかに多い

日本の中絶は減ったとはいえ……

先日、ブログに書き込んだ通り、令和1年度の中絶件数は 156,430 件で、前年度に比べ 5,311 件(3.3%)減少した。中絶率も減少している。

一方、今日見つけた統計によると「乳がん罹患率」は人口10万に対して140.8、一方の中絶率は人口千対6.2だったので、10万あたりにすると620となり、乳がんにかかる人より、中絶を受ける人の方が4倍以上もいることになる。

先日の第5回「中絶についてもっと話そう!」で、「危機的妊娠」という言葉を学んだ。「望まない妊娠」でもなく、「意図せぬ妊娠」でもない。なぜなら「望んだ妊娠」でも「意図した妊娠」でも中絶を受けることになる人がいるし、その妊娠を続けていくことで何らかの危機(退学、職業を継続できない等々)に直面する人たち、彼女たちが経験している「妊娠」のことを考えなければならないという考え方だ。

乳がんは女性が罹患しうるがんの中で最も多くを占めており、まさに女にとって大問題なのだけど、れっきとした医療の対象である。

一方の中絶は、「患者」として見ない医療者が、当人を罰するかのような言動をすることが今もあると聞く。危機的妊娠の解決策として、安全な中絶が行われるようになってほしい。危機的妊娠を危機的中絶で終わらせないでほしい。安全な中絶医療、安心できるカウンセリングが広まってほしい。そのためにも、中絶に対するタブーをひとつひとつ払いのけていきたい。