ロイター 2012年11月16日
アイルランドの中絶合法化に大きく影響した事件。
[ダブリン 15日 ロイター] 人工妊娠中絶が憲法で厳しく規制されているアイルランドで10月、病院で中絶手術を断られたインド人女性が死亡したことが分かり、カトリック教徒が多い同国で大きな議論を呼んでいる。14日には数千人が抗議デモを行い、政府も法整備に乗り出す考えを示した。
死亡したのは妊娠約4カ月だったサビタ・ハラッパナバールさん(31)で、夫の話によると、同国西部の病院に10月21日に入院。医師から胎児が無事に生まれてこないと診断され、中絶を求めたが、病院側は胎児にまだ心拍があるとして断ったという。
胎児の心臓停止は数日後に確認され、堕胎手術が行われたが、ハラッパナバールさんは同月28日に敗血症で死亡。家族は、中絶の遅れが死亡につながったとしている。
この問題で、ギルモア副首相は15日、議会で「女性の権利がこのようなリスクに遭う状況を認めるべきではない」と述べ、中絶をめぐる法整備が必要だとの考えを示した。
アイルランドの法律では、母体の生命や健康にどのような危険性があれば中絶が認められるかについて明確に規定しておらず、判断は医師に任されている。