リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

妊娠に誰も気づけず 知的障害ある女性の乳児殺人、記者が感じた壁

朝日新聞 2023年1月20日 10時55分

妊娠に誰も気づけず 知的障害ある女性の乳児殺人、記者が感じた壁:朝日新聞デジタル

 生後間もない男児を殺したとして、軽度の知的障害がある女性(24)が殺人罪に問われた裁判員裁判千葉地裁であった。どうすれば男児を守れたのか、女性の妊娠になぜだれも気づけなかったのか。そして、知的障害者をどう裁くのか。裁判を傍聴し、考えた。(上保晃平)

 事件が起きたのは2021年12月。知的障害がある女性が四街道市グループホームで出産し、男児を2階の窓から落として殺したという。

 女性は中古書店に障害者枠で採用され、自立した生活を送っていた。地域で一人で暮らす知的障害者の介護経験がある記者にとって、それは理想に近いケースだったと思えた。

 だが、現場に向かって関係者らに聞くと、女性がやや大柄で妊娠には気づかなかったという。男児の命は救えなかったのか。知的障害者が地域で暮らしていくためにも重要だと思い、裁判を傍聴することにした。

 昨年11月の初公判。女性は白いシャツに緑色のカーディガン姿で出廷した。検察側が起訴状を読み上げると、女性は「間違っていないです」と落ち着いた様子で起訴内容を認めた。

 女性は7歳で知的障害があるとわかり、小学2年で特別支援学級に移った。高校は特別支援学校に進んだ。

 証人の精神鑑定医によると、女性のIQは53(同年齢の平均が100)。軽度の知的障害だが、全体の下位1%より低い値だという。鑑定医は「感情を揺さぶられる体験が苦手で、衝動性が高い」「抽象化能力が低く、話を理解できても説明が苦手」と指摘した。

 一見したところそのような女性の特性はうかがい知れない。だが、女性が証言台に立つと事件の背景の一端がわかった。

(続きは有料記事)