『質の高い中絶医療のための臨床実践ハンドブック』2023年
Clinical practice handbook for quality abortion care
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内科的中絶と吸引を比較した表(p.7)から一部仮訳する。
妊娠12週未満の内科的中絶の特徴:
- 手術を回避できる。
- 流産のプロセスを模倣している。
- 女性が自分でコントロールでき、自宅で行うことができる。
- 中絶が成功するまでには時間がかかり(数時間から数日)、そのタイミングは予測できないことがある。
- 女性は出血や子宮収縮を経験し、他の副作用(吐き気、嘔吐)も起こる可能性がある。
- 真空吸引に比べ、より多くの通院や監視が必要な場合がある。
以下のような場合に好まれることがある:
- 高度肥満の女性の場合。
- 子宮奇形や子宮筋腫がある場合。
- 子宮頸部手術の既往がある場合。
- 外科的手術を避けたい女性の場合。
- 内診が不可能または望まれない場合。
妊娠12週未満の吸引処置の特徴:
- 迅速な手続きで、予測可能な時間で完了する。
- 医療施設内で行われる。
- 中絶の成功は、吸引した子宮内容物を評価することで容易に確認できる。
- 不妊手術や子宮内避妊具(IUD)の装着を手術と同時に行うことができる。
- 子宮や子宮頸管を傷つけるリスクは極めて小さい。
- 子宮に器具を使用する必要がある。
- 中絶のタイミングは施設と医療従事者によってコントロールされる。
- 鎮静剤を使用して実施することができる。
以下のような状況で好まれることがある:
- 内科的中絶に禁忌がある場合。
- 中絶のための時間的制約がある場合。
自己管理中絶について:
妊娠12週以前の内科的中絶の自己管理(ミフェプリストンとミソプロストールの併用、またはミソプロストール単独使用): 医療施設以外(例えば自宅)で、薬による中絶のプロセスの上記3つの構成要素のいずれか、またはすべてを実施するために、医療従事者による直接対面での監督に代替するものとして、自己管理という選択肢が推奨されています。薬による中絶のための遠隔医療:遠隔医療もまた、薬による中絶サービスの全部または一部を提供するために、保健ワーカーとの対面でのやり取りに代わる選択肢として推奨されています24。つまり、薬による中絶の適格性の評価、中絶のプロセスに関するカウンセリングや指導、薬投与の指導や積極的な促進、中絶後のフォローアップケアは、すべて遠隔医療を通じて提供可能である25。