リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

2017年の「共謀罪」に関する国連と日本政府の攻防

国連特別報告者の「勧告には権威がない」との印象付け?

2017年「プライバシーの権利に関する国連特別報告者」のジョセフ・カナタチ氏が日本政府が国会での共謀罪成立を急いでいることを危惧し、5月18日付で東京に書簡をファックスした。その内容は次のようなものだった。『武器としての国際人権』藤田早苗著 pp.84-5.

● 法案は適用範囲が広いため、成立すれば表現の自由プライバシー権が過度に制限されるおそれがある。
● 犯罪を立証するため国民への監視を強化することが予測されるが、適切にプライバシーを保護するための条文や措置が盛り込まれていない。

 これを踏まえて、法案に対しての質問とさらなる情報提供を求めるものだが、政府は二時間ほどで「法案は国民の意見を十分に踏まえて策定されたものだ」とする抗議文を作成し送り付けている。これを受けてカナタチ氏は次のような反論を発表した。抜粋して紹介する。
「私が日本政府から受け取った強い抗議は、ただ怒りの言葉が並べられているだけで、まったく中身のないものだった。プライバシーやほかの欠陥など、渡した多々挙げた懸念に一つも言及がなかった」
「私は、日本が高い人権基準を確立し、この地域におけるほかの国々及び国際社会全体にとって良い全例を示していただけるものと期待している。だから、先の書簡を書かなければならなかったことは、私にとって大いなる悲しみであり、不本意なことだ」
「日本政府はいったん立ち止まって熟考し、必要な保護措置を導入することで、世界に名だたる民主主義国家として行動する時だ。そのために私は全力を尽くして支援する」