リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

フェミニスト倫理からみたリプロダクティブ・ライツ

自著『中絶技術とリプロダクティヴ・ライツ』第7章より

リプロダクティヴ・ライツは,妊娠に気付いた女性が自分の生き方について第三者から不当な介入を受けない自由を保障するものであるとともに,それぞれが自分の人生における重大なライフ・イベントとしての妊娠や出産について,自らの信念に基づいた責任ある選択を行えること,すなわち道徳的主体として振る舞えることも保障していなければならない。言い換えれば,リプロダクティヴ・ライツは妊娠を継続するか断念するかの判断を当人に委ねることで,彼女の人としての統合性(integrity)――コーネルの言葉で言う身体的統合性(コーネル [1995: 52→2006: 91])ならびにシャーウィンの言う道徳的主体(Sherwin [1981: 34] [1992a: 102])であること――を保障するのである。

自由の保障と並んで、道徳的主体として振る舞えること(そのための情報や手段を得ること)もしっかり入れないといけないなぁ……と思った。ちなみに、この本を書いていた頃には、あえて「リプロダクティヴ」という表記を用いていたが、ここ数年、そんなところで突っぱねるのはやめた。だけど、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」ではなく、「リプロダクティブ・ヘルス&ライツ」と書くことだけは譲らない。