リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

特定妊婦は胎児の容器として大切にされる

法・定義・実態

「特定妊婦」の認定は、妊婦(女性)自身を保護するものではなく、「児童」の養育を守る制度なんですね。


児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)では次のように定義されています。1947年にできた法律ですが、「特定妊婦」は比較的最近盛り込まれたのですね。

第六条の三 この法律で、児童自立生活援助事業とは、次に掲げる者に対しこれらの者が共同生活を営むべき住居における相談その他の日常生活上の援助及び生活指導並びに就業の支援(以下「児童自立生活援助」という。)を行い、あわせて児童自立生活援助の実施を解除された者に対し相談その他の援助を行う事業をいう。
……
⑤ この法律で、養育支援訪問事業とは、内閣府令で定めるところにより、乳児家庭全戸訪問事業の実施その他により把握した保護者の養育を支援することが特に必要と認められる児童(第八項に規定する要保護児童に該当するものを除く。以下「要支援児童」という。)若しくは保護者に監護させることが不適当であると認められる児童及びその保護者又は出産後の養育について出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦(以下「特定妊婦」という。)(以下「要支援児童等」という。)に対し、その養育が適切に行われるよう、当該要支援児童等の居宅において、養育に関する相談、指導、助言その他必要な支援を行う事業をいう。

www.nhk.jp
NHKクローズアップ現代によれば

 「特定妊婦」は、2009年に施行された児童福祉法に明記されました。その定義は「出産後の養育について出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦」としています。

  • 収入基盤が安定せず、貧困状態にある
  • 知的・精神的障害などで育児困難が予測される
  • DVや若年妊娠など複雑な事情を抱えている …など


 こうした状態にあり、出産前から子どもの養育に支援が必要な妊婦だと判断されると、「特定妊婦」として自治体に登録されます。

 取材をしている中では、上記のような課題を抱える妊婦が、自治体の相談窓口に行ったり、産婦人科の聞き取りの際に実状を話したりしたことがきっかけで「特定妊婦」に登録されたというケースが多く見受けられました。


※特定妊婦の登録には具体的な基準はなく、自治体によって判断されます。また、地域や通っている病院によって対応が違うことがあります。