リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

ダルコンシールド:死者も出た1970年代に米国で人気だったIUD

Time, BY ALEXANDRA SIFFERLINNOVEMBER 10, 2015 1:00 PM EST

IUD Birth Control History: Why People Feared the Device | TIME

一部、仮訳します。

 IUDは1950年代にアメリカで登場し始め、ダルコン・シールドと呼ばれる初期バージョンのIUDは1970年代初頭に人気を博し、数百万個の売上を記録した。現在販売されているT字型のIUDとは異なり、ダルコン・シールドはカブトムシのような形をしており、両側にコブが突き出ていた。一部では挿入が難しいとされ、TIMEが当時報じたように、誤挿入、IUDの不具合、感染症、妊娠などの事例があった。妊娠したらシールドを取り外す必要があるかどうかについての誤った情報も、深刻な感染症につながった。さまざまな報告書によると、ダーコンIUDを体内に装着したまま流産し、死亡した女性が十数例いた。さらに、ダルコンは骨盤内炎症性疾患(PID)と呼ばれる不妊症につながる可能性のある痛みを伴う病気とも関連していた。

 1974年、保健教育福祉省は3,000以上の連邦政府出資の家族計画クリニックに対し、当時300万人以上の女性が使用していたダルコン・シールドの処方を中止するよう命じた、とTIME誌は報じている。同組織はまた、安全性と有効性に関する懸念が解消されるまで、民間の医師にダルコン・シールドを薦めないよう要請した。訴訟に悩まされたダルコン・シールドの製造元であるA.H.ロビンズ社は製品を回収し、数年後に破産を申請した。同社は、高価なメディア・キャンペーンを展開し、女性たちに製品を除去するよう警告した。1984年、『TIME』誌は、何百人もの女性がIUDを除去され、同社がその代金を支払うと申し出たと報じた。

 「ダルコン・シールド事件は、米国の医薬品メーカーが被った最悪の賠償責任の悪夢となるかもしれない」とTIMEは1985年に書いている。

 1986年までに、顧客はIUDを使うことを恐れ、メーカーは何か問題が起きた場合の潜在的な賠償責任を恐れて、事実上IUDアメリカ市場に出回らなくなった。

 当時の公衆衛生の専門家の中には、すべてのIUDが姿を消したことに憤慨している者もいた。1986年、家族計画連盟(Planned Parenthood)のルイーズ・タイラー(Louise Tyrer)博士は、TIME誌に次のように語っている。今は保険料が高いので、優れた製品が見捨てられつつある」と語っている。同じ記事の中で、国立衛生研究所のブルース・ステーデル博士は、製薬会社が "今日IUDを売り出すには、自殺行為に近いほど利他的でなければならない "とTIMEに語っている。