リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

中年期に卵巣卵胞の消失が加速する:閉経予測への影響

大分県のライフデザイン教育で使われているグラフは不適切

文科省/高校「妊活」教材の嘘』と同様の「妊娠・出産に関するウソ」が使われています。

大分県 私のライフデザイン~自分らしく生きるために、今考えよう~

このグラフの出所は以下だと思われます。
Accelerated disappearance of ovarian follicles in mid-life: implications for forecasting menopause


37.5歳を境に急速に卵子数が減るかのように表現されているこの種の研究については、現在では否定されているようです。
Ovarian ageing and the impact on female fertility - PMC
一部仮訳する。

これまでのモデリングでは、加齢に伴う卵胞減少の二者択一または二相性のパターンが提案されていた。卵胞無増殖の二項モデルでは、卵胞無増殖は生殖寿命を通じて2つの異なる速度で起こると仮定している。以前は約37.5歳とされていた臨界点では、卵胞閉鎖の割合が増加し、減少が加速する。この仮説は、年齢別の卵胞数の対数線形プロットを用いた古い形態学的研究から導き出されたもので、この推定年齢[11-13]における点の散らばりに偏差があることを示している。現代の形態計測データの再評価では、この偏差は卵胞減少の加速化を表しているのではなく、実際にはデータを対数線形モデルに変換することによって生じた値の歪みであることが示唆されている[14]。Hansenらは、122の標本から非成長卵胞の数を数えるために最新のステレオロジーの技術を用い、生殖寿命にわたって卵胞減少の速度が一定して増加することを提唱している。


ここで引用されている文献11-13の中の一つが上述のFaddyの文献である。
12. Faddy MJ, Gosden RG, Gougeon A, et al.: Accelerated disappearance of ovarian follicles in mid-life: implications for forecasting menopause. Hum Reprod. 1992;7(10):1342–6. 10.1093/oxfordjournals.humrep.a137570