リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

イプソス社(2022)中絶に関する世界の見解

Ipsos August, 2022

GLOBAL VIEWS ON ABORTION:A 27-country Global Advisor survey


日本の傾向を確認しましょう。

Q. 中絶について考えるとき、あなたの個人的な意見に最も近いものはどれですか? 中絶は...
世界平均:
あらゆる場合について合法であるべき 30%
ほとんどの場合について合法であるべき 29%……合法の小計59%
ほとんどの場合について違法であるべき 16%
あらゆる場合について違法であるべき 10%……違法の小計26%
わからない 16%


日本:
あらゆる場合について合法であるべき 17%
ほとんどの場合について合法であるべき 32%……合法の小計49%
ほとんどの場合について違法であるべき 7%
あらゆる場合について違法であるべき 2%……違法の小計9%
わからない 43%

※世界平均に比べて「わからない」が非常に多い(調査対象国の中で抜きんでて高い)


男女別にみると:
世界では男性(57%)よりも女性(61%)の方が合法であるべきと考える人が多い(p.5)が、年齢とジェンダーの分析によると、日本は男性の方が、またより高齢の方が若干「合法であるべき」と考える人が多い傾向が見られる(p.6)。
ただし、一般社団法人 日本家族計画協会による「第8回男女の生活と意識に関する調査」では、「人工妊娠中絶を認めるのは全体の68.5%(男性65.6%、女性71.0%)であった。(機関誌「家族と健康」2017年3月1日)


中絶はどうあるべきか:
「女性が望むと決めたらいつでも許可される あるいは 女性がレイプされた場合など特定の状況下では許可される」に同意する比率は2014年~2021年にかけて日本はずっと60%台で大きなぼ変化が見られない、2022年に「すべての場合に合法にすべき、またはほとんどの場合に合法にすべき」と訊くと49%と減った(p.7)。

※具体例を思う浮かべる方が許容的になるのかもしれない。他国でもブラジル、ドイツ、英国、ハンガリーなど、同様の傾向の国は多く見受けられる。

中絶が合法的であるべき事情:日本(世界)
女性の命や健康が脅かされる場合:75%(80%)
レイプの結果の妊娠の場合:78%(76%)
子に深刻な障害または健康上の問題がある場合:48%(67%)

※胎児障がいについて日本人は不寛容

合法的であるべき中絶の妊娠週数:日本(世界)
最初の6週間:38%(62%)
最初の14週間:29%(45%)
最初の20週間:20%(27%)

※どの週数についても世界より厳しめの傾向

中絶が違法とされている状況下で中絶が行われた場合、以下のそれぞれが罰則を受けるべきだと思うか?:日本(世界)
中絶を行った女性:10%(32%)
中絶を行った人物:12%(44%)
中絶の手配をした人物:14%(42%)

※3つのすべてについてどの国よりも低い。刑罰はいらないと考えている人が多い!?
最後のはとても意外だった。堕胎罪が機能していない現状を反映しているのだろうか?