リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

国連、NGO、そして女性の権利:問題の枠組み作りと機会獲得

International Studies Quarterly (2003) 47, 247–274

Framing Issues and Seizing Opportunities: The UN, NGOs, and Women’s Rights
JUTTA JOACHIM, University of Hannover(ドイツ)

要旨
 NGOはどのようにして、なぜ、そしてどのような条件のもとで、国家の利益に影響を及ぼすことができるのだろうか。これらの問いに答えるため、私は女性団体が、女性に対する暴力とリプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)と健康と言う、これまで私的なものとしか認識されていなかった2つの問題を、国連のアジェンダの前面かつ中心に据えることに成功したプロセスを検証する。私は、アジェンダ設定と社会運動に関する文献の両方から理論的枠組みを構築する。NGOは、問題、解決策、政治的行動の正当化の枠組みを作ることで、国家の利益に影響を与えようとする。NGOが支持を動員することに成功するかどうかは、主として次の2つの要因の動的な相互作用に左右される: (1)NGOが組み込まれている政治的機会構造(制度へのアクセス、影響力のある同盟者の存在、政治的連携と対立の変化など)、(2)NGOが自由に使える動員構造(組織起業家、異質な国際的有権者、専門家など)である。アジェンダ設定プロセスの初期においては、NGOの影響力はかなり限定的であり、その枠組みは非常に争いやすく、構造的な障害が組織の資源を上回っている。しかし、時間の経過とともにNGOの影響力は増大する。彼らは独自の動員構造を確立するにつれて、政治的な機会構造を自分たちに有利なように変化させることができるようになり、彼らのフレームは受け入れられ、正当性を増していく。