リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

H&M広告削除が映す「子どもの人権」への姿勢 感覚麻痺の日本では

朝日新聞 有料記事メディア・公共 写真研究者・小林美香=寄稿2024年3月4日 13時00分

批判を受け削除されたH&Mの広告。問題を指摘した、子どもの性的対象化や児童ポルノの問題を扱うオーストラリアの作家、メリンダ・タンカード・リーストさん(@MelTankardReist)のXへの投稿から


写真研究者・小林美香さん寄稿
 アパレルブランドH&Mが、1月にオーストラリアで展開したキャンペーン広告への「女児の性的対象化につながる」という批判を受けて削除し謝罪した。この件がSNS上で話題になる中で浮かび上がってきたのは、広告を構成する写真と文言の関係、及び広告が受容される地域・文化的背景の違いである。

 批判された広告は、Facebookのスポンサー広告として公開されたもので、「H&M」のロゴの下にキャッチコピーのテキスト「Make those heads turn in H&M’s Back to School fashion(H&Mの新学期ファッションを着て、注目を集めよう)」が記され、写真には鮮やかなピンク色の背景にそろいの濃いグレーのワンピースを着た女児2人が向き合って立ち、振り向くようにして視線を正面に向けて写っている。

 2人は前髪こそ少し異なるが、身長や顔立ちも似ているため、あたかも双子のような風情を醸し出している。写真にはワンピースの値段とロゴが配置され、「新学期開始に備えて、学齢期の子ども服購入に関心がありそうな保護者層」を主要なターゲットオーディエンスとして訴求する意図がうかがえる。

 ターゲットオーディエンスがFacebookの投稿の中で「Make those heads turn(辞書では『注目を集めよう』という定義が記されているが、実際会話で用いられる際には『性的な魅力で異性を振り向かせよう』というニュアンスを帯びたフレーズとして理解される)」という文言とともにタイムラインに流れてきた広告を目にした時、女児が「性的な意図も含む視線を向けられること(セクシズム)」や「外見で注目を集めて評価されること(ルッキズム)」を進んで受け入れるように誘導するメッセージとして読み取られた。そのことが、「女児の性的対象化につながるのでは」という反応につながり、子ども服を宣伝する上では不適切な文言を使用したと指摘されるに至った。

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