リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

中絶が先延ばしにされるということ

忘備録です。

Keder, Lisa M., MD
"Best practices in surgical abortion"
American Journal of Obstetrics and Gynecology, 189(2):418-422
「外科的中絶を行っているセンターの中には、妊娠7週を超えてなければ外科的中絶を行わないところがあるため、ごく初期の妊娠中絶では内科的中絶(薬による中絶)が唯一の選択肢になっている。他のセンターでは、真空吸引または手動真空吸引による妊娠初期の外科的中絶を提供している。」(p.418)

「内科的中絶の受容度は数多くの国際的な研究で確かめられてきた。そうした研究によれば、女性たちの84%から97%がもう一度中絶をしなければならないなら内科的中絶を受けると答えている。」(p.419)

日本でも妊娠8週くらいまで待って中絶を医師がいるようです。ただし、日本の場合の外科的中絶は吸引ではなく、掻爬の場合が多いです。

Edelman, Helen Susan(人類学者)
"Safe to Talk: Abortion Narratives as a Rite of Return"
Journal of American Culture, 19(4):29-3
「いったん中絶をすると決めたら、自分の中で赤ん坊が育っていると知っていることがほとんど耐えがたくなってきた。」(p.36)

中絶を先延ばしにされることで、耐えがたい気持ちを抱く女性は日本でも少なくないと思います。妊娠のごく初期に使える中絶薬を認可すれば、そうした中絶の先送りと女性の苦悩は減ることでしょう。