リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

カナダの中絶事情について

ツイッターで質問が出ているようなのでいくつか資料をご紹介します

保険がきかない場合の中絶薬「300カナダドル」の根拠は
Cost Coverage of the Abortion Pill | Action Canada for Sexual Health and Rights
abortion – Planned Parenthood Toronto

地域によって保険coverageやアクセスの問題が生じていることは
Abortion Coverage by Region - National Abortion Federation Canada
Access at a Glance: Abortion Services in Canada | Action Canada for Sexual Health and Rights

カナダで中絶問題が「解決」していないことについては
About Us | Abortion Rights Coalition of Canada


論文:カナダにおける人工妊娠中絶の公的資金援助:医療上の必要性の概念を超えて(The public funding of abortion in Canada: going beyond the concept of medical necessity, by Chris Kaposy, 2009)
PMID: 18751904 DOI: 10.1007/s11019-008-9164-9
要旨を試訳してみます。

要旨
この論文は、中絶反対派が中絶手術への公的助成を拒否すべきだと主張していることを踏まえ、カナダの医療制度における中絶手術への公的助成を擁護するものである。中絶反対派は、女性が社会的な理由で妊娠を解消することが最も多いこと、カナダの医療制度は医学的に必要な処置に対してのみ資金提供を求めていること、社会的な理由による中絶は医学的に必要なケアではないことを指摘している。これに対して、私は2つの回答を提示する。第一に、社会的理由による中絶を医学的に必要なケアとみなす議論を簡潔に提示し、中絶反対派の立場と直接的に争う。第二に、より実質的に、中絶が医学的に必要なケアとみなされない場合でも、女性が中絶を求める典型的な動機となる理由は、道徳的観点から十分に重要であり、公的資金を否定することは不当であることを示す正義の議論を提示する。最後に、医療費助成の決定は、医療上の必要性という狭い概念ではなく、必要なケアという広い概念によって導かれるべきであるという、より一般的な結論を導き出すことによって、私は締めくくる。必要なケアという広義の概念は、オランダの医療政策において議論されてきたものであり、そのような概念は、医療上の必要性という概念よりも、より公正で擁護可能な財源決定の指針となるであろうというのが、私の提案である。