リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

空野すみれ医師の再反論

仮訳してみます

再反論は有料なので本文の仮訳だけ示します。タイトルは”Response: Japan foresees early-stage medical abortion approval: Will this reduce barriers to access safe abortion?”(返答:日本は妊娠初期の薬による中絶を承認する見込み:これで安全な中絶にアクセスする障壁が減るのか?(仮))

 テラウチらは、その書簡の中で、中絶を取り巻く環境の多様性を指摘している1。しかし、危険な中絶は、世界的に妊産婦死亡率の主要な原因であり、毎年14,000-39,000人が亡くなっていることに留意する必要がある2,3。 中絶へのアクセスを犯罪化または制限することは、中絶を減少させる効果があるとは証明されていないが、女性を危険な方法にさらすことによって命を危険にさらしている2。 この予防できる死亡率と病的状態を避けるために安全な中絶へのアクセス確保は不可欠で、実際に世界保健機関(WHO)は中絶治療を必須ヘルスケアと考えている2。
 日本では中絶は合法だが、費用と配偶者の同意が必要なため、安全な中絶へのアクセスは依然として妨げられている。その結果、女性が一人で出産し、育児放棄をするという事例が後を絶たない。4-6 品質管理が不明な輸入中絶薬を、医療機関に相談せずに使用する人もいる。
 薬による中絶の導入は、その一歩となるはずである。テラウチらが述べているように、日本産科婦人科学会が安全に中絶を行うための努力を行っていることは評価される。しかし、ソラノら8 が主張するように、中絶薬が入院下での投与に限定されると、個人への経済的負担が大きくなり、利用しにくくなる。ミフェプリストンとミソプロストールは30年以上にわたって世界中で広く使用されており、有効性と安全性に関する十分な証拠がある。9  国際産婦人科連合(FIGO)とWHOが支持しているように、世界は遠隔医療による中絶治療へと向かっている2、10。 プロトコルは証拠に基づいていなければならず、個人の好みやアクセス性と釣り合うものでなければならない。
 中絶手術の安全性はもう一つの問題である。WHOは、医療従事者が訓練を受けているかどうかに関わらず、真空吸引法(VA)後の搔爬を含み、拡張掻爬法(D&C)を行わないよう勧告している2。WHOのガイドラインでは、「D&Cは女性に痛みと苦痛を与える」「その使用は、健康に対する権利を含む多くの人権と相容れない」としている1。実際、2015年の日本の全国調査では、D&CはVAと比較して子宮穿孔のリスクが高くなると報告されている(36.4/100000 vs 4.9/100000, P = 0.047)11。しかし2019年には、依然として誘発中絶のうちD&Cで23.5%、VAの掻爬で40.3%、VAのみで36%行われている12。
 産婦人科医は、権利の枠組みの中で科学的根拠に基づき、安全な中絶ケアを含むセクシュアル・アンド・リ・プロダクティブ・ヘルスと権利のサービスを提供する必要がある。JSOGの強力なリーダーシップが期待される。