リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

経口中絶薬メフィーゴパックの審査結果~毒性について

審査では毒性は否定されているのになぜか劇薬扱い

抜粋します。

5.R 機構における審査の概略(p.26)
ミフェプリストン及びミソプロストールの催奇形性については適切に注意喚起する必要はあると判断
・その他には、非臨床毒性の評価においてミフェプリストン及びミソプロストールの臨床使用に関する問題は認められないと判断する。


5.R.1 ミソプロストールの局所毒性について(p.26)
・ミソプロストールのバッカル投与により投与部位付近に局所毒性が生じる可能性は低いと判断する。

5.R.2 催奇形性について(p.26-p.27)
ミフェプリストンの催奇形性は、毒性試験において臨床等価容量を超える適切な要領で評価されていないこと、並びに申請者が説明したミフェプリストンやミソプロストールを妊婦に投与した時の児に先天異常が報告されていることを注意喚起する必要があると判断する。
・本剤投与後から次の月経までの避妊については、本剤投与後の排卵の再開示には体内のミフェプリストン及びミソプロストールについて遺伝毒性及び卵子に対する毒性を示唆する治験はないことから、ミフェプリストン及びミソプロストールの毒性の観点からは不要と判断する。

以下も参照。

ミフェプリストンもミソプロストールも「劇薬」!? 独立行政法人医薬品医療機器総合機構によるメフィーゴパックの審査報告書


もし少しでも該当する項目があるとすれば、厚労省資料スライド14②ー6)「臨床上薬用量において薬理作用が激しいもの」だと思われるが、薬理作用については次のような説明(おそらく薬剤師国家試験の問題に関する内容だと思われる)が見られる。


試験問題の作成に関する手引き(平成19年8月)
第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識

Ⅰ 医薬品の本質
 医薬品は、多くの場合、人体に取り込まれて作用し、効果を発現させるものである。しかし、本来、医薬品も人体にとっては異物(外来物)であるため、また、医薬品が人体に及ぼす作用は複雑、かつ、多岐に渡り、そのすべてが解明されていないため、必ずしも期待される有益な効果(薬効)のみをもたらすとは限らず、好ましくない反応(副作用)を生じる場合もある。
 人体に対して使用されない医薬品についても、例えば、殺虫剤の中には誤って人体がそれに曝さらされれば健康を害するおそれがあるものもあり、検査薬は検査結果について正しい解釈や判断がなされなければ医療機関を受診して適切な治療を受ける機会を失うおそれがあるなど、人の健康に影響を与えるものと考えられる。
医薬品は、人の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人の身体の構造や機能に影響を及ぼすことを目的とする生命関連製品であり、その有用性が認められたものであるが、使用には、このような保健衛生上のリスクを伴うものであることに注意が必要である。このことは、医療用医薬品と比較すればリスクは相対的に低いと考えられる一般用医薬品であっても同様であり、科学的な根拠に基づく適切な理解や判断によって適正な使用が図られる必要がある。
 医薬品は、効能効果、用法用量、副作用等の必要な情報が適切に伝達されることを通じて、購入者が適切に使用することにより、初めてその役割を十分に発揮するものであり、そうした情報を伴わなければ、単なる薬物に過ぎない。このため、一般用医薬品には、製品に添付されている文書(添付文書)や製品表示に必要な情報が記載されている。
 一般用医薬品は、一般の生活者が自ら選択し、使用するものであるが、一般の生活者においては、添付文書や製品表示に記載された内容をみただけでは、効能、効果や副作用等について誤解や認識不足を生じることもある。購入者が、一般用医薬品を適切に選択し、適正に使用するためには、その販売に専門家が関与し、専門用語を分かりやすい表現で伝えるなどの適切な情報提供を行い、また、購入者が知りたい情報を十分に得ることができるように、相談に対応することが不可欠である。
 また、医薬品は、市販後にも、医学・薬学等の新たな知見、使用成績等に基づき、その有効性、安全性等の確認が行われる仕組みになっており、それらの結果を踏まえ、リスク区分の見直し、承認基準の見直し等がなされ、販売時の取扱い、製品の成分分量、効能効果、用法用量、使用上の注意等が変更となった場合には、それが添付文書や製品表示の記載に反映されている。
 医薬品は、このように有効性、安全性等に係る知見の積み重ねによって、有効性、安全性等に関する情報が集積されており、随時新たな情報が付加されるものである。一般用医薬品の販売に従事する専門家においては、これらに円滑に対応できるよう常に新しい情報の把握に努める必要がある。
 このほか、医薬品は、人の生命や健康に密接に関連するものであるため、高い水準で均一な品質が保証されていなければならない。薬事法では、健康被害の発生の可能性の有無にかかわらず、異物等の混入、変質等があってはならない旨を定めており、医薬品の販売等を行う者においても、そのようなことがないよう注意するとともに、製造販売業者による製品回収等の措置がなされることもあるので、製造販売業者等からの情報に日頃から留意しておくことが重要である。


Ⅱ 医薬品の効き目や安全性に影響を与える要因
1)副作用
 WHO(世界保健機関)の定義によれば、医薬品の副作用とは、「疾病の予防、診断、治療のため、又は身体の機能を正常化するために、人に通常用いられる量で発現する医薬品の有害かつ意図しない反応」とされている。我が国では、「許可医薬品が適正な使用目的に従い適正に使用された場合においてもその許可医薬品により人に発現する有害な反応」(独立行政法人医薬品医療機器総合機構法第4条第6項)を、医薬品の副作用と定義している。
 医薬品の副作用は、次のように大別することができる。いずれも具体的な副作用の症状については第2章 Ⅲ(症状からみた主な副作用)、原因となる具体的な医薬品、成分等については第3章(主な医薬品とその作用)を参照して問題作成のこと。
(a) 薬理作用による副作用
 薬という物質、すなわち薬物が生体の生理機能に影響を与えることを薬理作用という。通常、医薬品は複数の薬理作用を併せ持つため、医薬品を使用した場合には、期待される有益な反応(主作用)以外の反応が現れることがある。主作用以外の反応であっても、特段の不都合を生じないものであれば、通常、副作用として扱われることはないが、好ましくないもの(有害事象)については一般に副作用という。
 複数の疾病を有する人の場合、ある疾病のために使用された医薬品の作用が、その疾病に対して薬効をもたらす一方、別の疾病に対しては症状を悪化させたり、治療が妨げられたりすることもある。