リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

「サブパートH」の脆弱な論拠の解説

VOX Apr 12, 2023, 6:00am EDT, By Rachel M. Cohen

www.vox.com

仮訳します。

中絶薬に反対するケースで最も不誠実な議論:もちろん、妊娠は病気ではない

レイチェル・M・コーエンは、ワシントンD.C.で10年以上にわたって社会政策と政治を取材してきた。Voxのシニア国内政策記者である。


 中絶反対派の活動家たちは、妊娠を安全に終わらせるために2000年に米国食品医薬品局(FDA)から承認された薬、ミフェプリストンへのアクセスを阻むことを狙って深い誤解を招くような言い回しを使ってきた。


 「妊娠は疾病ではない」と、先月テキサス州の連邦地裁で行われたマシュー・カクスマリーク判事の審理で、中絶反対団体「Alliance Defending Freedom」の主任弁護士エリック・バプティストは宣言した。「妊娠は病気ではないのだ。」


 先週金曜日の夜、ミフェプリストンを市場から引き上げるよう命じる前代未聞の決定を出したとき、中絶反対派のカスクマリック判事は同じことを言った。「妊娠は『病気』ではない」とカスクマリックは67ページの命令の中で強調し、「人間の命を永らえるために不可欠な自然のプロセス」だとした。


競合する薬物中絶判決の理解方法
 この議論は、中絶反対派のリーダーたちが、FDAが「サブパートH」と呼ばれる迅速な医薬品審査プロセスによってミフェプリストンを違法に承認したと主張していることに基づいている。このプロセスは「重病や生命を脅かす病気に対する新薬」にのみ適用される。妊娠が病気でないなら、ミフェプリストンは承認されるべきではなかったというのが、彼らの論理である。


 妊娠は神聖なものであり、妊娠を止めることは冒涜であるというキリスト教の考えと同様に、これは法律を不合理に解釈した愚かな議論である。FDAが病気、疾患、状態という言葉を使い分けてきた長い歴史があることを思えば、粗雑な法解釈と言わざるを得ない。2月にこの訴訟で提出されたアミカスブリーフで、全米16の学術機関の19人の米国食品医薬品学者が、ミフェプリストンが常に合法的に承認されてきたことを強調している。


 「アミカスたちは多様なイデオロギーを代表し、中絶に関連するすべての道徳的・倫理的問題について必ずしも同意しているわけではないが、(私たちは)原告が米国連邦食品医薬品法を重大に誤って解釈している、という点で一致している」と専門家は書いている。


 中絶反対運動がリプロダクティブ・ヘルスケアに反撃するために「妊娠は病気ではない」という叫びを利用したのは、今回だけではない。2011年、医学研究所が民間の健康保険プランで避妊を自己負担なしでカバーするよう勧告したとき、中絶反対運動家たちはこれと同じ言葉で強く反対した。

 「妊娠は病気ではないし、生殖能力は、技術的に可能なあらゆる手段で抑制すべき病的な状態ではない」と、当時の米国カトリック司教協議会プロライフ活動委員会の委員長は述べた。「妊娠を病気や重病と考えるなら、避妊は病気や重病を防ぐだけだ」とヒューマンライフインターナショナルのフェロー、ボブ・レアードも同じことを言っている。

 連邦規制当局が妊娠を病気だと主張したことはないのだから、この点は全く争う必要がないのはあきれるばかりだ。妊娠は医学的な状態であり、それに対してFDAは合法的に薬や器具を規制している。(FDAが認可した妊娠検査薬も参照すること)。

 ミフェプリストンは、米国で最も研究され、精査された医薬品の一つであり、その安全性と価値について繰り返し評価され、肯定されてきた。23年前に使用が承認されて以来、米国では500万人以上の女性に使用されてきた。

 ピッツバーグ大学法学部教授のグリア・ドンリー氏は、「(Alliance Defending Freedomの)訴訟で皮肉なのは、FDAがサブパートHを使ったのは、ミフェプリストンをより厳しく制限しようとしたからだ」と述べている。「つまり、FDAがサブパートHを使って何かずるいことをしようとしていたとしても、それはミフェプリストンを過剰に規制するためであって、過小に規制するためではなかった」。


 FDAは、深刻な状態に対する医薬品や生物製剤に言及する場合、条件、疾患、病気という用語を「互換的に」使用することを機関指針で強調している。


 これを無視することで、中絶反対運動は、妊娠がFDAの法的権限に属する客観的な医学的状態であるという現実から目を逸らしている。(ただし妊娠が、子癇前症、胎盤剥離、静脈血栓塞栓症、産後鬱など、多くの深刻で生命を脅かす合併症を引き起こす可能性があることは、中絶反対派の活動家も認めている。)