リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

女性の権利、家族計画、人口管理:アメリカにおけるリプロダクティブ・ライツの出現(1960-70年代)

THE INTERNATIONAL HISTORY REVIEW2022, VOL. 44, NO. 4, 751–771

Women’s Rights, Family Planning, and Population Control:The Emergence of Reproductive Rights in the UnitedNations (1960s–70s)

Maud Anne Bracke
School of Humanities, University of Glasgow, Glasgow, UK

仮訳します。

要旨
 本稿は、1960年代から70年代にかけての国連におけるリプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)の原則の出現をたどるものである。家族計画計画は、少子化、世界人口、「第三世界の開発」における女性の役割をめぐる対立が相互に関連する、重要なディスキュール上の地形であった。1960年代後半、国連の女性の地位委員会は、拡大された人権の定義との関連で家族計画を定義し、女性の権利の問題として位置づけ直した。この転換は、委員会における欧米系、共産主義系、グローバル・サウス系の女性組織の間で、女性の権利に関する概念が競合しながらも、ある面では収斂していったことに起因する。1974年のブカレスト会議、1975年のメキシコ・シティ会議など、その後の国連会議では、「人口管理」と「第三世界の開発」をめぐる世界的な対立が続いていた。国連はここに、女性の社会的役割に責任を負わせ、女性の生殖の自律性を高める可能性を示したが、南半球のフェミニスト運動の呼びかけに反して、人口管理のアジェンダを完全に放棄することはできなかった。この論文は、国連の歴史と、世界的に結びついたフェミニズム運動の出現の歴史に貢献するものであり、女性の権利NGO、国連機関、家族計画団体のアーカイブや出版物に基づいている。