リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

医療と介護の公平な分配:ジェンダーと医療・介護労働の過小評価

WHO 2024

Fair share for health and care: gender and the undervaluation of health and care work

James Campbell, Director, Department of Health Workforce, WHOの挨拶を仮訳します。

 持続可能な開発目標(SDGs)の中間点を迎えるにあたり、世界はいまだ「女性と女児の期待を裏切っている」と言われている。この失敗は、経済的不確実性、政情不安、戦争、気候変動といった世界的な複合危機によって、さらに深刻化している。ジェンダーの不平等は、これらすべての課題にまたがっている。
 世界平均で労働人口の67%が女性である医療・介護分野でさえ、ジェンダーの不平等が蔓延している。世界の多くの地域で、女性は依然として有給の医療・介護労働者になること、そしてそこにとどまることの障壁に直面している。同じような仕事をしている男性よりも、女性の賃金は平均で24%も低い。また、意思決定の場において、女性が十分に代表されているわけでもない。私たちの重要なメッセージは、プライマリー・ヘルスケアとユニバーサル・ヘルス・カバレッジを達成するために、SDGsの時代に私たちを前進させるためには、強力な男女平等の医療・介護労働力が不可欠であるということです。それは、より良い健康、より良い経済、そしてより良い地球を実現するための機会である。
 しかし、医療・介護従事者の男女平等を進めることは、それだけでは実現しない。2022年、WHOは国際労働機関(ILO)と共同で、医療・介護分野におけるジェンダー賃金格差に関する初の世界的報告書を発表し、医療・介護分野の女性が低賃金であるだけでなく、この分野全体が過小評価されていることを明らかにした。本報告書では、データとジェンダー・レンズを用いて、医療・介護労働の過小評価をさらに掘り下げ、数十年にわたる医療・介護労働への慢性的な投資不足が、深刻化する世界的な介護危機の一因となっていることを示すとともに、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジジェンダー平等が緊密に結びついた目標であることを実証している。