リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

アイルランドの結婚退職制度がもたらす長期的影響(2020)

1973年までホワイトカラーの女性に対して存続

The Long-term Consequences of the Irish Marriage Bar
Irene Mosca, Maynooth University; Robert E. Wright, University of Glasgow

概要を仮訳します。

マリッジ・バーとは、特定の仕事に就いている女性が結婚した場合、その仕事を辞めなければならないという条件である。アイルランドには1970年代までマリッジ・バーがあった。2014/2015年、アイルランド高齢化縦断研究(The Irish Longitudinal Study on Ageing)に参加した女性に、全国を代表する調査で初めて、マリッジ・バーの経験について具体的な質問がなされた。本稿では、TILDAの回答者からの情報を2つの目的で使用する。第一は、アイルランドにおけるマリッジ・バーの程度を調査することである。我々の分析によれば、マリッジ・バーは広く普及しており、特定の部門や職業(公務員など)に限定されていなかった。第二の目的は、マリッジ・バーの長期的な影響を調査することである。そのために、結婚禁止令の影響を受けた女性の転帰を、結婚禁止令の影響を受けなかった女性の転帰と比較する。回帰分析によれば、結婚禁止令の影響を受けた女性は、勤続年数が短く、個人の所得は低いが、現在の家計の富は高く、子供の数が多く、子供の学歴も高い。しかし、2つの女性グループの現在の健康状態には統計的に有意な差はない。長期的なアウトカムの差は、結婚、教育、雇用、職業選択の内生性によって混乱させられることはないようである。