リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

中絶と避妊が不可欠な医療である理由

アムネスティ・インターナショナルの記事から

以下の記事から抜粋で訳します。
Why abortion and contraception are essential healthcare

世界では妊娠4件につき1件が中絶に終わるが、中絶を禁止する法のために危険な中絶に至り、命を失う人が年間22,000人に上ると推定されている。

避妊や安全な中絶にアクセスできないと妊産婦死亡率が上昇することは証明済みである。

世界37カ国で中絶サービスを提供している国際NGOのマリー・ストープス・インターナショナル(MSI)は、COVID-19 が妊産婦の健康に壊滅的な影響を与えると警告している。MSIの推定によれば、COVID-19のために300万件のいとせぬ妊娠と、270万件の安全でない中絶が生じ、11,000人が妊娠関連で死亡する。

エボラ熱を始めとする過去のパンデミックからの教訓は、こうした危機において医療の配分が偏った結果、感染症そのものによる死と同じ同程度の妊産婦死亡が見られた。外出禁止のために性暴力も増えており、経済的理由や健康への懸念から中絶や避妊の需要は増している。

中絶や避妊のサービスを否定することは、長期的には医療システムを害する。意図せぬ妊娠の予防に1ドルをかけることで、妊娠関連の医療費2.2ドルを削減できる。WHOは、安全でない中絶の治療にかかる費用は年間5億5300万ドルと見積もっている。

中絶や避妊が制限されることで、女性たちや少女たちは教育やキャリアを積む機会を奪われる。避妊を得ることで、女性たちは自分の未来を決定できることを知りエンパワーされ、社会経済の発展に寄与していける。

西暦2000年から2017年までに世界の妊産婦死亡は38%も減少した。過去25年間に50か国以上が、安全な中絶が女性の生命や健康を守るために重要な役目を果たしていると認識することで、中絶や中絶後のケアを認める方向に法改正を行っている。そうした発展をウィルスによって台無しにさせてはならない。

中絶や避妊は時間を待てない。だからこそ、政府がこの種の医療を提供するのが重要なのである。

テレメディシン(遠隔医療)を通じて中絶や避妊にアクセスできるようにし、緊急避妊薬を処方箋がなくても薬局で販売できるようにし、不必要な待機時間や複数の医師による承認などをなくすなど、この不可欠な医療を守り、必要とする人々がアクセスできるようにするなど、政府にできることは数多くある。

一刻でも早く行動に移すことで、より多くの命が守られる。