リプロな日記

中絶問題研究者~中絶ケア・カウンセラーの塚原久美のブログです

今日,matabe9さんが家にきて,合宿のまとめをした。具体的には,分科会の冒頭に行なったKJ法を用いたグループ作業の結果で中絶のイメージとして参加者によって挙げられた言葉を入力し,分析しなおした。なかなか面白い結果が出そうです……が,今日のところは…

合宿の二次会のほうで,1980年代に「悲しみ」を連想する言葉をタイトルにつけた中絶関連書が次々発行されたことをご紹介しました。そのうちの一つが10月3日と5日の日記でで紹介したマグダ・ディーンズ著の『悲しいけれど必要なこと』でした。その前年には谷…

この9月に発表された3Dあるいは4D映像による「泣き笑いする胎児」が,最新の中絶の倫理問題として話題になっている。参照→http://www.prochoiceforum.org.uk/ocr_ethical_iss_1.aspだけど,こういう「表情」が分かるのは,かなり“胎児”が大きくなってからの…

アメリカのNational Women's Health Network(NWHN)によれば,Rep. Rose DeLauro (D-CT) を初めとする複数の議員たちが,米食品医薬品局(FDA)に企業の利権や政治の都合より女性の健康と安全性を優先することを義務づける法案(HR 6235) を提出した。FDAに対し…

つい最近,アメリカでPlan-Bと呼ばれる緊急避妊薬(EC,通称「モーニング・アフター・ピル」)が解禁されたばかりだが,イギリスの医学雑誌で同薬の解禁後も中絶率が上がっていることを示すデータが発表され,話題を呼んでいる。 データの出典は次のとおり:…

10月の分科会の資料として,WHOのSafe Abortion34頁にあるVA(真空吸引法)とD&C(掻爬法)を比較した表を訳してみて,改めて思った。この表のどこにもgeneral anesthesia/anaesthesia(全身麻酔)なんて言葉は出てこない。(やむなく)D&Cを行なう場合でさえ…

前に書いたアンジェラ・カーダー事件の経緯について,日本語で読めるものとしてはスーザン・ファルーディ著(伊藤由紀子,加藤真樹子訳)『バックラッシュ〜逆襲される女たち』(新潮社 1994)のp.292-295が詳しいです。

プロライフの反対があまりに強く,認可問題で前局長が辞任する騒ぎも起きていたアメリカのFDAが,ついに緊急避妊薬Plan-Bの店頭販売を許可しました。Plan-Bは,モーニング・アフター・ピルとしても知られる緊急避妊専門薬で,「もしや危ない?」と思ったセッ…

リプロダクティヴ・ヘルスケアの充実のためには,産科医不足は大問題である。前置胎盤で胎盤の癒着のために大量出血となり,子宮摘出を余儀なくされたが産婦が死亡したという事故のため,業務上過失致死および異常死届出義務違反(医師法違反)で問われた福…

アメリカ医師会(AMA)が,ポリシーの一つとして,リプロダウティヴ保健医療へのアクセスについて次のように規定しているのを見つけました。(訳 塚原久美) 総合的なリプロダクティヴ保健医療(ヘルスケア)へのアクセス (H-420.959 Access to Comprehensi…

たまたま辞書を引いたら,ピンと来る訳が出てこなかったので,試みに定義してみる。 プロネイタリズム,出産奨励主義(pronatalism)出産を奨励するイデオロギー。第二次世界大戦まで,帝国主義国家の多くが人口増強策の一貫として採用していた。大日本帝国…

以下,WHOのスペシャル・プログラム(HRP)のニューズレターから,リプロダクティヴ・ヘルスおよびリプロダクティヴ・ヘルス・ケアの定義部分を抜き出してみた。 ◆リプロダクティヴ・ヘルスとは何か リプロダクティヴ・ヘルスは,リプロダクティヴ・システム…

6月2日のダイアリーへの追記。1994年の『インパクション』89号で,大橋由香子さんによる原ひろ子さんへのインタビューの中に,こんな話が出てきました。 大橋: 94年9月のカイロ会議での最終的な行動計画案の第二章原則に,ソバリン・ライト(Sovereign Righ…

リプロダクティヴ・フリーダム reproductive freedom の定義を集めてみました。 1970年代のフェミニストが基本的人権の一として導入した言葉で,安全な避妊と中絶,強制的な不妊手術,妊娠や出産の最中のヘルス・ケアなどを含むものとして定義される。かつて…

前に書いた山谷えり子議員のリプロダクティブ・ライツ解釈の問題について,同議員の発言のおおもとである子どもの権利に関する2002年5月の国連総会特別セッションについて分かったことを,駆け足で書き記しておくことにする。興味のある人は,5/14と4/26の日…

以下は,石井美智子さんの定義です。「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」『ジュリスト』No.1237(特集ジェンダーと法)2003:174-5.より。 リプロダクティブ・ライツは,言い換えれば,自己の生殖をコントロールする権利である。現代医療技術は,性と生殖を…

リプロダクティヴ・ライツは女性の人権の一部であり,国家が国民に保障すべき権利だというのが,女性差別撤廃条約締結国のあいだでの合意事項である。私見では,リプロダクティヴ・ライツの最低限の要件は,意に反した妊娠・出産・育児や,意に反した中絶や…

4月26日に書いた「男女共同参画基本計画,リプロダクティヴ・ライツを否定?」について,いったいどこが出所なんだろうと思っていたのだけど,調べがついた限りでは,2001年10月31日衆議院文部科学委員会から,2003年6月12日衆議院憲法調査会まで【2008年7月…

2005年12月閣議決定の第2次男女共同参画基本計画は,1996年12月の男女共同参画2000年プランや2000年12月の男女共同参画基本計画から一転して「リプロダクティヴ・ライツ」および「リプロダクティヴ・ヘルス」を消極的に解釈している。 2000年の第1次計画まで…

たまたま以下のサイトにあるリプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康/権利)の説明を見つけた。川上美智子氏(茨城キリスト教大学生活科学部教授)の講演内容らしい。教科書的なテキストなので,これをお借りして,わたしの考えをいくつか簡…