リプロな日記

日本のアボーション(中絶と流産)にまつわる諸問題を研究しています

キティ・ジェノヴィーズ事件については、このブログでも以前,次のようにちらりと触れたことがあります。 アメリカではキティ・ジェノヴィーズ事件のあとで,いくつかの州が「善きサマリア人法」を制定した。誰かを救おうとして行なった行為について,その結…

おまたせしました! 2006年10月8日:SOSHIREN 女(わたし)のからだから合宿 分科会「ザ・中絶〜嘘と沈黙を超えて」の報告です。ネット版では念のために名前を伏せておきますが,差し支えないようでしたらお知らせください(>報告者のみなさま) 合宿2日目…

2006/10/8に私のからだから合宿で発表した際の資料の残りです。引用の際には,以下の発表資料であることを明記してください。参照(1), (2) SOSHIREN主催 女のからだから合宿 Oct 8, 2006 分科会「ザ・中絶〜嘘と沈黙を超えて」 発表題目「中絶という罪の構築…

2006/10/8に私のからだから合宿で発表した際の資料の一部です。引用の際には,下記の発表資料であることを明記してください。 SOSHIREN主催 女のからだから合宿 2006年10月8日 分科会 ザ・中絶〜嘘と沈黙を超えて 発表題目「中絶という罪の構築」 金沢大学大…

以下は2006/10/8にSOSHIREN主催の私のからだから合宿 で発表した際の資料の一部です。引用の際には,下記の発表資料であることを明記してください。 SOSHIREN主催 女のからだから合宿 2006年10月8日 分科会 ザ・中絶〜嘘と沈黙を超えて 発表題目「中絶という…

今週末,SOSHIRENの合宿で開く分科会のために,資料作りに追われているなかで,次の文章が目に留まった。 堕胎は語られなかった 中絶について語ることはなかった 生むことだけが誇らしげに語られな がら女たちは押し黙っていた 自分のからだのことよりも 人…

中絶に関する本は英語圏では山ほど出版されており,つい最近まで毎年の“中絶関連本”を紹介するレビュー誌まで存在していたほどである(現在もあるかどうかは未確認)。今日現在,Amazon.comで"abortion"という単語でAmazon.comの本を検索すると6万3883件がヒ…

一昨日書き込んだ「タイも水子供養が輸出された国だった」というのは間違いでした。3年前,金沢大学の清水邦彦先生の水子供養に関するゼミで,私が発表した以下の本の内容(第一部でタイの中絶状況を,第二部で韓国の水子供養を扱っている)を混同してしま…

そのものずばりのタイトルの資料をご紹介。便利ですよ。 Reproductive rights are human rightshttp://www.crlp.org/pdf/pdf_RRHR_06.pdf オンラインでPDFを1冊ダウンロードする限り無料で提供されています。全41頁,英語バージョンのコピーライトは2001年。…

1995年にオレゴンの3クリニックで中絶を求めてきた262人に対し,ミフェプリストンとミソプロストルを使用した中絶を行ない,事前事後にアンケートで調査した研究について,PubMedから得た情報を訳してみました。なおミフェプリストンは商品名であり、開発名…

第三者によって“自己”の消去や還元にさらされてきた人々にとっての「権利の語りrights talk」の意味について。フェミニスト法学者Frances Olsenの言葉によれば,権利は「記述的」あるいは「分析的」なものだというよりむしろ「勧告的」なものである。「権利…

『生命倫理事典』にさえ載っていなかったことにびっくりしたので,紹介しておこうと思います。1987年,ジョージワシントン大学のメディカルセンターで,妊娠26週で持病の癌が悪化したアンジェラ・カーダーは,自分も家族も希望しなかった帝王切開を裁判所命…

ずいぶん前のゼミ発表のレジュメが出てきたので,アップしておきます。けっこう長いのでご注意を。誤字脱字とかもありそうだけど(見つけたらいずれ修正します),ロウ判決の和訳は未だに出ていない(と思う)ので,中絶問題について考えていこうとする方の…

1968年のパウロ6世の回勅「フマネ・ヴィテ(人間の生命)」について,ある作家は次のように書いています。 この手紙【回勅】は大きな驚きであった。近代的な避妊テクニックの道徳的正当性を判断するために委員会が作られていた。その委員会のメンバーの大多…

顕微鏡の技術革新によって,発生の初期段階の観察が可能になり,初期胚の構造が成熟した細胞とは全く異なることが徐々に解明されていった。1828年,Karl Ernst von Baerは比較発生学の記念碑的論文「動物の発達について On the Development of Animals」を発…

避妊ピルは1950年代のアメリカで,産児制限運動の指導者マーガレット・サンガーとその友人で大金持ちのページ・マコーミックの依頼によって,ピンカスやロックらが考案したことになっている。しかし,じつは1920年代後半に,オーストリアの生理学者Ludwig Ha…

ローマ教皇の避妊・中絶に関する方針ばかり調べていて,教皇庁のお膝元イタリアの中絶状況を知らないことにふと気がついて調べてみた。 マリアローザ・ダラ・コスタ(伊田久美子・伊藤公雄訳「女たちの闘いと労働力再生産政策」『家事労働に賃金を フェミニ…

雑誌The Nationを"abortion"で検索すると,1865-1945年までの記事は145件,1946-72年は266件,1973年以降は1449件。単純計算すると,1945年までは年2件未満,1946-72年は約10件,その後は年に40件以上も取り上げられていることになる。クロス検索では「righ…

Joan Callahanの Reproduction, ethics, and the law : feminist perspectives (1995)によれば…… 倫理に対するフェミニン・アプローチ (1)it will emphasize the inclusion of women's experience(s) 女性の経験を含めることを強調する (2)it will focus on …

フェミニスト倫理学者Virginia HeldのFeminist Morality(1993)より抜粋。 工場飼育factory farmingの問題に話を絞ろう。動物に不要な痛みを及ぼすことは悪であると常々信じている人が,ある子牛の飼育法について深刻で全く不要な痛みを子牛たちに負わせるも…

女性差別撤廃条約には,次の規定があります。 締約国は,婚姻及び家族関係に係るすべての事項について女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとるものとし,特に,男女の平等を基礎として次のことを確保する。 ……自由に配偶者を選択し及び自…

中絶は人類の歴史を通じて行われてきたが,ここ数十年の中絶はますますテクノ社会の色合いを帯びてきた。それは,真空吸引機の導入に見られるように,誘発流産の医療技術が洗練されたなどという表面的な意味に留まらず,我々がテクノ的気風にさらに踏み入ろ…

以下,抜粋・転記しておく。身体的形態と人間の欲望を言語に移すことは文化的につくられたある種のアイデンティティをそれらに付与することである。それは欲望を間違って表現することでもないし,他のかたちをとって自然の状態で存在することでもなく,わた…

ちょっと試みに考えてみた……。中絶を女性の人権問題として捉えねばならないのは,不本意な妊娠と出産が第三者や法によって強制されうるものだとした場合,不慮の妊娠に見舞われた女性の人生はひとえに「女に生まれた」という生得的な条件ゆえに非常に広範か…

かつては図書館でコピーするしかなかった『言海』が,ちくま学芸文庫として復刊されている(底本は明治22年版)。改めて見てみると,とても興味深い。広辞苑第5版では,堕胎とは「胎児を自然に分娩期に先だって人為的に母体外に排出させること。こおろし」と…

国際ヒューマニスト協会(IHEU)の情報。「ヒューマニズムは,人間には自らの生命に意味と形を与える権利と責任があることを認める民主的かつ倫理的な生命観である」という定義には頷くことができる。 human rights Universal rights to which every person i…

このノートは長いし,ほとんどが英文をそのまま引っ張ってきたものなので,興味のない方は飛ばしてくださいませ。ところで,検索をかけてみたことがある人はご存じでしょうが,国連のデータベースは宝の山……なんだけど,何がどこにあるのか,とっても分かり…

ところで,最近,Judith Jarvis Thomsonの1971年の論文「中絶の擁護」を読みなおししているんですが,まさにコーネルの「イマジナリーな領域への権利」に通じるようなことを,30年も前にThomsonは言っているんですね。この論文は,bioethicsの中絶論としては…